[東京 3日 ロイター] - 萩生田光一経産相は3日の閣議後会見で、可能な限り原子力発電の依存度を低減するという政府の方針に変わりはないと述べた。
政府が31日の経済財政諮問会議に提示した骨太原案(経済財政運営の指針)では、原子力について「最大限活用する」と明記された。昨年10月閣議決定したエネルギー基本計画では「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」としていた。
萩生田経産相は、可能な限り原発依存度を低減するという政府方針には「何ら変わりはない」とした。ロシアによるウクライナ侵攻や電力供給の逼迫という現状を踏まえ、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するとの方針を示した。あらゆる選択肢を追求する中で、原子力も活用していくという趣旨」と説明し、両方の方針は矛盾するものではないとした。
中国電力島根原発2号機の再稼働に丸山達也島根県知事が同意を表明したことについては「地元の理解を得られたことは大変重要だ」と述べた。「原子力の利用にあたっては安全確保が大前提」とし、中国電力に対しては、安全対策にしっかりと取り組むことを求めた。
東芝の経営問題に関しては「東芝は原子力や半導体など国家の安全保障にもかかわる重要技術を保有する企業であり、関係する事業が維持・発展していくことが重要。そういう観点から今後の動向を注視してきたい」と、これまでの立場を繰り返した。そのうえで、一般論として「原子力や半導体等国の安全等に関する事業を実施する日本企業に対し外国投資家が一定以上の投資を行う際には、原則として外為法に基づく事前届け出が求められる。そのうえで、国の安全を損なう恐れがないか等の観点から厳格に審査することとなる」とした。
経営再建に向けた戦略を公募していた東芝は2日、初期的な提案を10件受け取り、うち8件が非公開化に関するものだったと発表した。