[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が1日発表したユーロ圏の1月の消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比8.5%上昇と3カ月連続で伸びが鈍化した。12月は9.2%上昇だった。
ただ基調インフレ率は前月とほぼ同水準で、統計の信頼性にも疑問が浮上している。
ロイターがまとめた市場予想は9%上昇だった。昨年10月に過去最高の10.6%上昇を記録して以降、急ピッチで鈍化している。
食品とエネルギーを除いた基調インフレ率は7%で、前月の6.9%から上昇。さらにアルコールとたばこも除いたベースでは5.2%と前月と同水準で、予想の5.1%を上回った。加工食品と工業製品の価格が上昇したが、サービス価格の上昇率はやや鈍化した。
オックスフォード・エコノミクスのマテウス・アーバン氏は、「欧州中央銀行(ECB)の関心は徐々に主要指標からコアインフレに向かっており、総合インフレ率の鈍化で中銀のタカ派姿勢を変えることはないと考えている」と指摘。
その上で「ECBは今月と来月、50ベーシスポイント(bp)の利上げを行い、インフレ圧力が予想通り後退しない場合は5月に25bpの追加利上げのリスクがある」と述べた。
統計の信頼性の問題も浮上している。1月の統計にはドイツのデータが含まれておらず、統計局はモデルベースの推定を迫られた。
ノルデアは、情報の3分の1が欠如しており数字には注意が必要とし、1月のインフレ統計は遅れが出ているのが現実と指摘した。
また、1月の統計は年初の価格改定の影響で変動が大きくなる傾向がある。
同時に発表となった12月のユーロ圏の失業率は過去最低の6.6%で横ばいだった。