[マドリード 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は29日、米国のインフレ率が2%の目標を大きく上回り、労働市場が引き続き非常に逼迫する中、連邦公開市場委員会(FOMC)の大半のメンバーが「年内あと2回以上の利上げが適切になると想定している」と述べた。
スペイン中央銀行主催のイベントの講演原稿でパウエル氏は、具体的な利上げ時期には言及しなかった。
同氏は、3月に生じた銀行部門のストレスが、利上げだけによる効果を上回る信用環境の引き締まりにつながる可能性を指摘。しかし、インフレ率はなお高すぎる水準にあり、2%の目標に戻るまでの「道のりは長い」と語った。
年内はあと4回のFOMCが予定されており、次回は7月25─26日に開く。
議長はイベントで、今後数カ月は緩やかなペースの金利決定が続くと予想。「われわれは引き続き(決定の)ペースを緩やかにしている。行動しなかった会合も1回ある。われわれは緩やかなペースの金利決定が続くと予想している」と述べた。
銀行の状況について、引き続き注意深く見守っていると述べた。混乱が収まったかどうか明言したくないとし「心配することがわれわれの仕事だ」と話した。
米国ではまだ資金調達に脆弱性なところがあると述べ、不動産市場の一部を例に挙げた。
「オフィスを中心に価格調整が行われている。在宅勤務によって状況が変わった」との見方を示した。
パウエル氏はまた、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の問題に米国の規制当局はまだ対処していないとの認識を示した。
「3月の危機の際にはMMFに大規模な資金流入があった。(現在は)それが止まっている」と述べた。
金融引き締め局面では銀行預金から利回りの高いMMFに資金が移る傾向がある。
パウエル氏は「そのため銀行は貸し出し条件を引き締める。これはもちろん望ましい結果だ。秩序だったプロセスである限り、われわれが行うことの一部として期待されることだ」と説明した。