[シドニー 24日 ロイター] - オーストラリア政府は24日、最新の「世代間報告書」を公表し、国内経済が高齢化を背景に今後40年で鈍化し、財政が圧迫され、国の借金が増えるとの見通しを示した。
提唱された改革案には税制改革は盛り込まれなかった。
報告書を発表したチャーマーズ財務相は、デジタル技術、気候変動、再生可能エネルギー、高齢化、高齢者介護の必要性が今後40年間の国内経済を形作ると指摘。現時点の政府の重要課題は、家庭の電気代の負担軽減など、生活費危機の緩和だと述べた。
炭化水素から再生可能エネルギーへの移行、情報技術(IT)から人工知能(AI)への移行、若年人口から高齢人口への移行、グローバル化から分断への移行を管理することが今後の課題になるとも指摘した。
報告書は、2063年までの年平均経済成長率を2.2%と予測。過去40年間の3.1%から低下するとの見通しを示した。
気候変動も景気減速の一因となる見通し。気温の上昇により40年間で1350億豪ドル(874億1000万ドル)─4230億豪ドルの経済活動が失われる可能性があるという。
人口増加率も平均1.1%と、世界平均を大きく上回るものの、鈍化が見込まれている。人口は現在の2600万人から63年には4050万人に増加するが、高齢化も進む見通しで、65歳以上の人口は2倍以上に、85歳以上の人口は3倍以上になると予測されている。
寿命が延び、退職者の比率が増えることで、税収が減り、医療費が増える見通し。政府支出は63年までに国内総生産(GDP)の3.8%ポイント増加するとみられている。