Twinnie Siu Clare Jim
[香港 25日 ロイター] - 香港政府トップの李家超行政長官は25日、施政方針演説を行い、不動産市場の活性化と低迷する経済の安定化に焦点を当てる方針を示した。「外部勢力」による干渉に対抗するため、来年に新たな国家安全条例を制定することも確認した。
昨年に3.5%縮小した香港経済について、インバウンド観光と消費の改善や失業率低下に伴い「今年は成長を再開する」と述べた。
香港経済は上期に2.2%拡大し、今年は前年比4%の成長率が見込まれている。
ただ、李氏は一部の先進国で利上げが行われたことから外部環境は依然として厳しく、香港の投資・資産市場は「マイナスの影響を受けている」とも指摘した。
2019年の大規模な民主化デモを巡り、自由を抑圧したとして米政府から制裁を受けた李氏は、国家安全保障をさらに強化する必要性も強調。「外部勢力が香港の問題に干渉し続けている」と述べたが、具体的な内容や国名には言及しなかった。
香港基本法23条として知られる国家安全条例を2024年末までに制定すると述べた。
<不動産・株式市場テコ入れ>
不動産市場の活性化では、2軒目の住宅購入者と市民以外の住宅購入者を対象に印紙税率を直ちに15%から7.5%に引き下げる。また、一部の住宅保有者に対し購入から2年経った物件の売却にかかる税負担を軽減する。
政府は引き続き公営・民間住宅向けの土地供給を拡大する。
不動産コンサルティング会社JLL(香港)のジョセフ・ツァン会長は、今回の対策でも住宅価格の下落傾向が反転することはないだろうと指摘。世界経済の低迷や利上げが市場の重しになっていると述べた。
李長官は、香港株式市場の流動性を高めるため、株式取引にかかる印紙税率を0.13%から0.1%に引き下げるとも表明。証券会社を支援するため、市場データの手数料を年内に引き下げる方針も示した。