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日銀、経済・物価見通し前進でも慎重 YCC再修正は市場見極め判断か

発行済 2023-10-25 19:37
更新済 2023-10-25 19:46
© Reuters. 日銀は30、31日に金融政策決定会合を開く。物価目標実現に向け、経済・物価情勢を点検するほか、足元の金融市場動向なども踏まえ、現行の政策を維持するか、再修正の必要性がある

Takahiko Wada

[東京 25日 ロイター] - 日銀は30、31日に金融政策決定会合を開く。物価目標実現に向け、経済・物価情勢を点検するほか、足元の金融市場動向なども踏まえ、現行の政策を維持するか、再修正の必要性があるか議論する。複数の関係筋によると、経済・物価の見通しが前進する中でも賃金上昇を伴う物価目標の実現にはまだ距離があるとの声が日銀には根強い。イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)下での長期金利変動幅の上限については、状況次第で対応を考える必要が出てくるとの見方が浮上している。

<物価は上方修正か、目標実現にはなお距離>

    決定会合では「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年度比上昇率について、2023年度は前回7月の2.5%から3%付近となる公算が大きく、24年度も上方修正の可能性がある。

実績値が3.0%となった22年度を含めれば3年連続で2%以上となる可能性が出てきているが、企業の価格転嫁が想定以上に続く半面で、賃上げ分の価格転嫁はまだ限定的との見方が日銀では多い。19日の支店長会議後の記者会見では、経済の不確実性が高い中で持続的賃上げの成否は現時点で見通しにくいとの認識が示された。

25年度のコアCPIの前年度比伸び率は2%に届かない見通し。関係筋によると、日銀では賃金上昇を伴う物価目標の実現にはまだ距離があるとの声が根強い。今回会合では、マイナス金利解除やYCCの撤廃といった政策修正の可能性は低いとみられている。

<景気も足元上方修正、海外経済に警戒>

景気は緩やかに回復を続けるとの見通しを維持するとみられる。4―6月期実質国内総生産(GDP)の強い結果を反映して、23年度の実質GDPの予想は前回の前年度比1.3%増から上方修正される可能性が高い。ただ、物価高が続く中で消費の抑制傾向が強まることへの警戒感もある。

経済・物価にとって、海外経済が最大のリスク要因との指摘が日銀では出ている。米国経済のソフトランディング期待が高まる一方で、一時5%乗せとなった米10年金利が米国の実体経済に悪影響をもたらし、日本経済に波及するリスクは消えていないからだ。

中国経済減速に加え、石油を輸入に頼る日本にとって、緊迫化する中東情勢の帰すうを注視する必要があるとの指摘も聞かれる。

経済・物価を巡り、上下双方向の不確実性は引き続き大きい。金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)は「躊躇なく追加緩和」の文言も含めて維持される見通し。

<YCC再柔軟化の是非、会合ぎりぎりまで市場見極め>

足元で長期金利が一時0.865%まで上昇、市場では日銀が今回の会合でYCCの変動幅上限を再修正するとの見方が出ている。

関係筋によると、日銀では、今回の長期金利上昇は米金利上昇が主因との声が多く、米金利が低下トレンドに転じれば日本の金利も落ち着く可能性があるとみられている。一方で、10年金利が1%をつけた場合、連続指し値オペで金利上昇の抑制を続ければ再びイールドカーブの歪みが生じ、為替を含めた他の金融市場に影響が出かねない。展望リポートで物価を巡る日銀の目線が上がっていることを示した場合、10年金利に上昇圧力が掛かることへの警戒感もある。日銀内には金融緩和継続のためにも、事前の柔軟化が必要になるとの考えもある。

仮に上限を引き上げた場合、名目金利が上昇する分、実質金利は上昇し、それだけ緩和効果がそがれることになるが、実質金利は非常に低いため、実体経済への影響は軽微との見方がある。逆に、ゼロ%程度としている長期金利目標との乖離が大きくなることや、金利のさらなる上昇を招いてしまうとの警戒感もある。

市場ではYCCを再修正する場合、上限を1.5%に引き上げるとの見方があるが、日銀では上限引き上げに加え、上限での市場調節の柔軟化が検討される可能性もある。

上限を引き上げる場合は、効果と副作用のバランスをどう図るかが焦点となる。日銀は会合直前まで市場動向を見極め、慎重にその必要性を判断するとみられる。

    (和田崇彦 編集:石田仁志)

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