[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した10月の鉱工業生産は前年同月比4.6%増加し、9月の4.5%増から加速した。小売売上高の伸びも予想を上回った。
鉱工業生産はロイターがまとめたアナリスト予想(4.4%増)を上回り、4月以来の高い伸びとなった。
小売売上高は7.6%増加し、9月の5.5%増から加速。アナリスト予想は7.0%増だった。
一連の指標は予想よりも堅調な数字となったが、一部のアナリストは不動産セクターが依然として景気回復の足かせとなっているとし、先行きに慎重な見方を示している。
オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、シン・チャオペン氏は「祝日と弱かった前年のベース効果という要因があり、前年同月比の数字は実際の経済の勢いを反映していない」と指摘。前月比の数字は景気の勢いが一段と弱まり「デフレリスクの高まり」を示唆していると述べた。
オックスフォード・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ルイーズ・ルー氏は鉱工業生産について、先月は在庫調整圧力が一段と和らぎが好調だったものの、外需低迷が長期化すれば影響が出る可能性があると指摘した。
10月初旬の大型連休中の旅行者数は政府予想を下回った。雇用市場の先行き不透明感が高まる中、雇用や所得に対する懸念が広がっているとエコノミストは指摘する。
10月調査ベースの失業率は5.0%で、9月から横ばいだった。
1─10月の固定資産投資は前年同期比2.9%増と、予想の3.1%増を下回った。1─9月期は3.1%増だった。
統計局の劉愛華報道官は15日、若者の雇用データを時宜を得た方法で発表すると明らかにした。
中国は6月に若者の失業率が21.3%と過去最高を記録した後、データの公表を停止した。
劉氏は、中国の雇用情勢はおおむね安定しており、大卒者の雇用は今後も改善し続けるだろうと述べた。
また、消費の回復は政策支援により継続する見通しだとし、このところのデータは成長率目標の達成に向けてしっかりとした基礎を築いているとの見方を示した。
今年の成長率目標は5%程度と控えめに設定されている。
ただ、劉氏は景気回復には「紆余曲折」があるだろうと指摘。中国の不動産市場は調整と変革の段階にあると語った。