Simon Jessop
[ロンドン 28日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は28日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで30日に開幕する国連気候変動枠組み条約第28回締結国会議(COP28)を前にロイターのインタビューに応じ、世界が地球温暖化を制御したいのなら従来の手法では「通用しない」と警告した。
ゲオルギエワ氏は、温室効果ガスの排出量を2030年までに25―50%削減する必要があるが、これまでの約束に基づくと削減率は11%にとどまるとの見通しを示した。
「COP28で最も重要なのは、われわれが行っている方法は通用しないということを明確にするとともに、世界の気温上昇を1.5―2度以内に抑えられるような積極性の度合いをはっきりさせることだ」と指摘。「私の見解ではそれこそが今回のCOP28での最優先事項であり、従来の手法は撤回する必要があると認識しなければならない」と訴えた。
2015年に採択されたパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を1.5―2度に抑える目標を掲げている。
協議の重要な議題となるのは、異常気象の影響を既に受けている脆弱な国に追加資金を提供できるよう多国間金融システムを構築し直すために、各国政府に何ができるかだ。
これまでの主要な取り組みの1つが、発展途上国における気候変動対策の財源増強を支援するため、特別引き出し権(SDR)の一部を開発銀行へ貸し付けることを認めるよう各国の働き掛けること。
ゲオルギエワ氏は、アフリカ開発銀行と米州開発銀行が自行へ貸し付けられたSDRをハイブリッド資本として使うことを提案したと説明。「この案をIMFの理事会に提示した。われわれは現在、法的な手順と運営上の手順を調べている。作業はまだ完了していないが、ある程度有望と見込める」とした。
気候変動の衝撃がより頻繁に起こる世界で債務の持続可能性を促進する上で、IMFは気候関連の要因を分析に盛り込んで「一段と深い支援」を提供すべく取り組みを進めているという。
ゲオルギエワ氏は、こうした政策について世界銀行と協議していると説明。「この問題に対する行動をわれわれは加速すると思うが、現実には簡単に対処できる問題ではない」と話した。