[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した11月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年同月比0.9%上昇と、10月の1.2%上昇から伸びが鈍化した。
一方、前月比では横ばい。エネルギー製品の価格下落が食品価格の上昇を相殺したためで、インフレ圧力が引き続き沈静化していることが示された。市場予想は0.1%上昇。10月は0.4%下落と従来の0.5%下落から上方改定された。
<経済軟着陸の可能性高まる>
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「米連邦準備理事会(FRB)当局者が政策判断の際に出せる唯一の結論は、生産者レベルではインフレが存在しないということだ。このため、経済を破綻させることなくインフレを低下させ、ソフトランディング(軟着陸)させる可能性がさらに高まる」と述べた。
ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニア経済アドバイザーであるコンラッド・デクアドロス氏は「インフレ率を2%に戻そうとしているFRBにとって朗報だった」と指摘。
PNCファイナンシャルのシニア・エコノミスト、カート・ランキン氏は「レジャーや接客業などのサービス部門でも個人消費がなおインフレにつながっているが、サービス業者自身のコストが低下傾向にあるため、消費者需要が冷え込めば、消費者物価の上昇率も安定化する」との見方を示した。
<財価格変わらず、サービス価格も2カ月連続横ばい>
11月の財(モノ)の価格は変わらず。10月の財価格は1.4%下落していた。
エネルギー製品の価格が1.2%下落。ガソリン価格が4.1%下落したほか、ジェット燃料やジェット燃料や液化石油ガスの価格も下落した。 10月のエネルギー価格は6.7%下落だった。
一方、食品価格は0.6%上昇。卵の価格が58.8%上昇したほか、メロンなど果物の価格も上昇した。10月の食品価格は0.1%下落だった。
変動が大きい食品とエネルギーを除いたモノのコア指数は0.2%上昇。10月は変わらずだった。
サービス価格は2カ月連続で横ばい。運輸・倉庫のサービス価格が下落したが、ホテルなどの宿泊費が4.0%上昇。医療費も上昇したが、ポートフォリオ管理手数料や陸上運送費などは下落した。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は前月比0.1%上昇した。10月も0.1%上昇だった。前年同月比は2.5%上昇と2021年2月以降で最小の伸びと記録。10月は2.8%上昇だった。