[上海 5日 ロイター] - 中国商務省は5日、欧州連合(EU)産のブランデーについて反ダンピング(不当廉売)調査を開始したと発表した。
EUは中国製の電気自動車(EV)とバイオディーゼルについて補助金やダンピングの調査を進めており、双方の緊張が高まる可能性が高い。
同省はEUから輸入している200リットル未満の容器に入ったブランデーを調査すると表明。中国アルコール飲料協会から申し立てがあったとしている。
フランスのコニャック業界団体は、中国当局に全面的に協力する方針を示した。今回の件は酒類市場だけでなくより広範な貿易問題に関連しているとの見解も示した。「われわれの製品と商慣行は中国および国際的な規制に完全に準拠していると確信している」とロイターに述べた。
発表を受け、フランスの蒸留酒メーカー、レミー・コアントロー株は1151GMT(日本時間午後8時51分)時点で11%以上下げ2020年初め以来の安値を付けた。ペルノ・リカールも4.8%下落している。ペルノ・リカールはグループ売上高の10%を中国で稼ぐ。コニャックは中国売上高の50%超を占める。
チャイナ・マーケット・リサーチ・グループ(上海)の創設者兼マネジングディレクターのShaun Rein氏は、中国の措置は、EUの中国製EV調査への対抗措置で「欧州での保護主義の台頭に対し強硬策を取ることができることを知らしめるための一撃だ」と述べた。
中国はオーストラリアとの関係が悪化した2020年に、オーストラリア産ワインなどに相殺関税を課すなどの輸入規制措置を取った。関係改善に伴い、そうした措置の大半を廃止した。
メルカトル研究所(ベルリン)のチーフエコノミスト、マックス・ゼングレイン氏は、中国はEUに対しても同じようなアプローチを取っていると指摘した。