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コラム:日銀の3月マイナス解除に現実味、世界経済の好転も追い風

発行済 2024-01-31 16:50
更新済 2024-01-31 17:18
© Reuters. A man walks in front of the headquarters of Bank of Japan in Tokyo, Japan, January 18, 2023.   REUTERS/Issei Kato

Kazuhiko Tamaki

[東京 31日 ロイター] - 日銀の1月金融政策決定会合で、マイナス金利解除を含む超金融緩和政策の修正をめぐって積極的な議論が展開されていたことが31日発表の「主な意見」で明らかになった。3月会合でマイナス金利を解除することを視野に入れたメンバーが多くなっていると筆者は推測する。国際通貨基金(IMF)が30日に公表した世界経済見通しでも2024年の世界の成長率を3.1%に引き上げており、出口を志向する日銀には追い風と言える。

<緩和修正へ幅広い議論>

「主な意見」でまず目を引いたのは、「政策修正の要件は満たされつつある」という部分だ。次回3月会合でのマイナス金利解除が視野に入っている意見だと筆者は受け止めた。

また、能登半島地震の影響を「今後1─2カ月程度フォローし、マクロ経済への影響を確認できれば、金融正常化が可能な状況にいたったと判断できる可能性が高い」という部分も、早ければ3月会合で正常化可能と判断できると強く示唆した発言と思われる。

さらに政策修正の検討の際に、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)やマイナス金利政策のあり方だけでなく「オーバーシュート型コミットメントの検討も必要」という意見も出ていた。

加えて2%の目標達成時に上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J‐REIT)の買い入れ停止の検討についても意見が出ていることが明らかになり、単純にこの先の物価目標達成時点がいつになるのか、という議論を展開しているだけでなく、その際に同時に検討すべき政策項目に関しても議論が始まっている可能性をうかがわせる意見もあった。

<少なかった慎重意見>

金融政策運営を巡る発言15件の中で、早期の政策修正に対して明確に慎重な見解を示したのは、物価目標の実現に「賃金と物価の好循環が一段と強まっていくことが必要」との主張と、持続的物価上昇には人材価値を高める経営が必要であり「それらの進ちょくに注目したデータに基づいた判断が重要である」との2つだけだったと筆者は解釈している。

つまり1月会合での議論では、早ければ3月にも政策修正の可能性があるとの見方について「時期尚早」とした意見は、少数にとどまった可能性があるのではないか。

過去の主な意見との比較で、1)マイナス金利解除の判断が遅れると、その後に急激な引き締めをする必要性に直面するリスクがある、2)海外の金融政策が転換するタイミングとの関連で「現在は千載一遇」の状況にある──との表現が目立った。早期の政策修正の時期が迫っているとのニュアンスがにじみ出ていると筆者は受け止めた。

<高まる米ソフトランディング期待>

日銀が物価目標の安定的・持続的な達成を目指す上で、賃金動向とともに注視してきたのが海外経済の動向だ。中でも大きな影響力を持つ米国経済が景気後退色を強めれば、米連邦準備理事会(FRB)による急速な利下げへの期待感が膨らんでドル安が加速。対円では円高が進んで日本経済の腰を折るリスクが高まる展開も予想された。

だが、足元の世界経済は多様なリスク要因が存在するものの、「失速」と言えるような下押し圧力に直面している様子は見えない。

IMFの世界経済見通しでは、2024年の世界成長率予想を昨年10月の2.9%から3.1%に引き上げた。米国と中国の成長率予想も引き上げ、インフレが予想以上に鈍化していると指摘した。

チーフエコノミストのピエール・オリヴィエ・グランシャ氏は、世界経済の「ソフトランディングの可能性が高まっている」とし「世界的なリセッション(景気後退)シナリオからは程遠い」と指摘。米国の24年成長率予想を昨年10月の1.5%から2.1%へと大幅に上方修正した。

実際、12月米小売売上高は前月比プラス0.6%と市場予想を上回り、12月求人件数も予想を上回る902万6000件となった。米経済のソフトランディング期待はかなり高まっており、3月の米利下げ期待は足元で低下している。

このように米経済などの状況は、日銀にとってまさに「千載一遇」とも言える政策変更の環境を提供していると言えるのではないか。

日銀ボードメンバーの中で「3月のマイナス金利解除」が視野に入っている割合は、相応に大きくなっていると筆者は予想する。

主な意見の公表後、31日の円債市場では、長期金利が一時0.750%まで上昇した。今後、植田和男総裁を含めた日銀首脳陣の講演や会見、国会での発言を受けて、市場による日銀の政策修正への織り込み度合いが次第に高まっていく展開を予想している。

●背景となるニュース

・UPDATE 2-日銀1月会合、政策修正「要件満たされつつある」 正常化へ発言続出

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