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ワコム Research Memo(7):2018年3月期第2四半期はV字回復を達成。2つの事業セグメントが売上を伸ばす

発行済 2017-12-01 15:37
更新済 2017-12-02 19:33
ワコム Research Memo(7):2018年3月期第2四半期はV字回復を達成。2つの事業セグメントが売上を伸ばす
■業績の動向

1. 2018年3月期第2四半期決算の概要
ワコム (T:6727)の2018年3月期第2四半期決算は、売上高40,689百万円(前年同期比20.4%増)、営業利益1,501百万円(前年同期は898百万円の損失)、経常利益1,642百万円(同1,021百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益1,674百万円(同1,226百万円の損失)と、大幅増収・黒字転換となった。


同社は2017年11月1日に第2四半期及び通期の業績見通しの修正を発表したが、最終的に、その修正予想の線で着地した。


2018年3月期第2四半期は業績のV字回復を果たしたが、端的に言えば、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業の2つのセグメントが、それぞれ順調に業績を伸ばしたことが主因だ。


ブランド製品事業は、2018年3月期は新製品が出そろった状態でスタートしたことが収益の回復の大きな要因となった。
同社はペンタブレットやデジタルペンの市場において、ブランド力や製品・技術の競争優位性を堅持している。
そうしたなか、2017年3月期は新製品のリリースの遅れが買い控えなどを生み、業績悪化につながった。
新製品がほぼ出そろった2018年3月期は、同社の強みが十分発揮されて各製品・市場セグメントにおいて売上を伸ばした。


テクノロジーソリューション事業の収益回復は、タブレットPC向け(ノートPC含む)の売上高が前年同期比99.3%増とほぼ倍増したことが第1の要因だ。
その背景には、デジタルペンやデジタルインクに対するニーズに関して製品サプライヤー(同社の顧客)やユーザーの意識が変わってきたということがある。
デジタルペンの位置付けが、“あった方が良い”から“ないと商品性に劣る”へと変化し、タブレットPCのデジタルペン搭載率が大きく上昇したことが収益拡大につながった。
もう1つの柱であるスマートフォン向けでは、サムスンのGalaxy Note 8向けの出荷が第2四半期(7月−9月期)に本格化したが、今期はGalaxy Note 7向けの出荷が消失してしまったことから、Galaxy Note 5(当時の旧世代モデル)向けの売上高があった前年同期を超えることはできなかった。


2017年3月期において損失計上の要因となった為替レートは、今第2四半期は対米ドル、対ユーロでともに前年同期比円安に振れた。
その結果、今第2四半期決算における売上高及び営業利益に対する前年同期比の為替影響額はそれぞれ、16.9億円、2.4億円となった(いずれもプラス方向)。


通貨別内訳は、対米ドルでは営業利益影響がマイナスとなっている点が注目される。
前述のように生産の98%が海外生産で、生産コストがドル建てのため、利益については円安デメリットになるためだ。
アジアにおける売上高が、アジア通貨がドル連動であるため実質的にはドル建てとなり、その部分は円安メリットとなる。
こうした入り繰りの結果、上記のように営業利益の為替影響額はプラス2.4億円となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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