■株式相場見通し予想レンジ:上限22000-下限21000円来週の日経平均は戻りを試した後、落ち着きどころを探る軟調な展開となりそうだ。
日経平均はゴールデンウィークをまたいだ10日にかけての5日続落で、この間の下げ幅が962円に達しており、急落後の反発を試す場面がありそうだ。
米中貿易摩擦の問題は米国側の対中関税引き上げが10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)に発動されたことで新たな局面に入ってきた。
トランプ大統領が貿易摩擦問題の解決を急がない姿勢を表明したことは懸念材料だが、10日の上海総合指数は3日ぶりに3%上昇し、NYダウも反発、CME日経先物は大阪比180円高の21490円となっており、週初は短期的なアク抜け感を誘う展開となる可能性がある。
米国市場と為替の動向を睨みつつ、日経平均はリバウンドのタイミングを探る展開が予想される。
実際、昨年7月から9月の米国による対中関税引き上げ実施後、米中ともに株価はしばらく上昇した経緯がある。
ただし、米中貿易摩擦の長期化は、今年の株価回復のよりどころである年後半の景気回復シナリオが揺らぐことになる。
上値を買い上がる材料は乏しく厳しい地合いが想定される。
こうした状況下で発表される経済指標に、相場は過剰に反応する懸念もある。
15日に中国4月鉱工業生産、米4月小売売上高、ユーロ圏1-3月期GDPなど米中欧の主要経済指標の発表が集中する。
短期的な戻りの後は、神経質な展開を強いられることになるだろう。
TOPIXはすでに3月8日安値1570.39ptを割り込み、2月8日の安値1536.65ポイントに接近している。
なお、3月期企業を中心とする決算発表は15日でほぼ終了する。
13日はシチズン (T:7762)、東芝 (T:6502)、14日は日産自動車 (T:7201)、リクルートHD (T:6098)、15日は日本郵政 (T:6178)、KDDI (T:9433)が発表の予定にある。
米国では、15日にシスコシステムズ、16日にエヌビディアとウォルマートが決算発表を予定している。
全体相場が乱高下した10日の東京市場でも、一時を含めて13銘柄がストップ高となった。
富士ソフト (T:9749)やケーズHD (T:8282)など、そのほとんどが決算発表を手掛かりとしており、物色的には業績を手掛かりとした個別人気が継続することが見込まれる。
主な国内経済関連スケジュールは、13日に3月景気動向指数、14日に3月国際収支、15日に4月工作機械受注、16日に4月企業物価指数、17日に3月第3次産業活動指数が発表される見込み。
一方、米国など海外経済関連スケジュールは、14日に米4月輸出入物価指数、15日に中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、米4月小売売上高、ユーロ圏1-3月期四半期域内総生産(GDP、改定値)、16日に米4月住宅着工件数、ユーロ圏4月消費者物価指数などがそれぞれ予定されている。
■為替市場見通し来週のドル・円は底堅い動きか。
トランプ政権は中国からの輸入品に対し税率引き上げに踏み切ったことで、貿易戦争再燃への懸念が強まり、リスク回避的な円買いが観測された。
しかしながら、米中両国による協議は継続すると見込まれており、リスク回避的な円買いは後退するとみられる。
米国の個人消費は堅調さを保っており、製造業の景況感は回復しつつあることが確認できれば、リスク選好のドル買いが入りやすい。
中国の劉鶴副首相は中国メディアとの共同インタビューで、「両国は今後、北京で話し合いを継続することで合意した」と語った。
同副首相は「中国が原則について妥協することは決してない」と述べているものの、閣僚級協議で米中間の対話が継続されることになれば、交渉決裂などの最悪シナリオは回避され、円買いは縮小するとみられる。
一方、4月の米小売売上高や5月フィラデルフィア製造業景気指数など経済指標が堅調な内容だった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測は再び後退し、ドルを買い戻す動きが広がりそうだ。
とはいえ、世界的な景気減速懸念がすみやかに払しょくされることは期待できず、ドル高・円安が急速に進行する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール5月13日(月):外貨準備高、印CPI、ポンペオ米国務長官がロシア訪問、フィリピン中間選挙など5月14日(火):国際収支、独CPI、英失業率、米輸入物価指数など5月15日(水):工作機械受注、中失業率・固定資産投資・鉱工業生産指数・小売売上高、トルコ失業率、米小売売上高など5月16日(木):豪失業率、ユーロ圏財務相会合など5月17日(金):ユーロ圏CPI、米景気先行指数など