[東京 11日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べドル安/円高の104円前半。米長期金利が朝方の水準から低下したことや、新型コロナウィルスの景気下押し圧力に抗するために昨日トランプ大統領が表明した米経済対策に対する期待が後退したことなどで、ドルはこの日、ほぼ一本調子で下げる展開となった。
ドルは早朝105.69円の高値を付けた後、午前9時には早くも104円後半に下落。朝方に伝わった「ペンス米副大統領やカドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言は減税対策について具体性を欠き、失望を誘った」(国内銀)という。さらに、仲値にかけては実需筋のドル売りが先行し、上値を重くした。
米国債市場では、早朝に0.8172%付近だった10年国債利回りが0.6550%付近まで低下し、ドル売りに安心感が広がった。
米国のトランプ政権と議会指導部は10日、新型ウイルスの感染拡大に対応するため、経済対策を議論した。ペンス副大統領は会見で「議会から良い反応が出ている。法制化に向けて共和・民主指導部と作業を進めていく」と述べた。政権が提案している経済対策の柱は給与税の軽減だが、規模と期間は不透明だ。
「財政出動はいいアイデアかもしれないが、本当に大幅な減税ができるのかどうか分からない中で、ドルの買い戻しにも限界がある」(前出のアナリスト)
前日の外為市場では、米国の減税期待を手掛かりにドルが102.02円から105.91円と約4円幅で上昇したが、「(前日は)実体がないなかで(ドルは)さすがに上げ過ぎた」(同)との認識が広がり、この日のドル反落につながった。
金融市場で高ボラティリティ相場が続くなか、短期金融市場では主要国の中銀が大規模な流動性供給を続けており、「市場が安定性を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ」(外国銀)との意見が聞かれる。
昨日の米短期金融市場では、米連邦準備理事会(FRB)の金融調節を担うニューヨーク(NY)連銀が翌日物のレポオペ(財務省証券や住宅ローン債券を担保とする資金供給)を通じて、1236億2500万ドルと、過去最大の資金供給を行った。
きょうもレポオペが実施される予定で、市場参加者の間では、供給額が昨日の水準を上回ると見込まれている。
ドル/円 ユーロ/ドル (EUR=) ユーロ/円 (EURJPY=)
午後3時現在 104.14/16 1.1349/53 118.21/25
午前9時現在 105.04/06 1.1313/17 118.83/87
NY午後5時 105.63/66 1.1279/81 119.16/20
(為替マーケットチーム)