29日の日経平均は5営業日ぶりに反落。
38.42円安の21877.89円(出来高概算23億8000万株)で取引を終えた。
中国による香港の「国家安全法」採択を受け、トランプ大統領が29日に会見を開くと発表したことから、米中対立への警戒が強まった。
これを受けて利食い優勢で始まると、前場半ばには21710.80円まで下げ幅を広げる局面もみられた。
しかし、警戒されていた香港市場が小幅な下げにとどまっていたこともあり、前引けにかけて下げ幅を縮め、後場は21955.44円とプラスに転じる局面もみられた。
東証1部の騰落銘柄は、値下がり数が1400を超えており、全体の6割超を占めている。
セクターでは医薬品が強い動きをみせたほか、精密機器、情報通信、食料品がしっかり。
半面、鉄鋼、海運、空運、輸送用機器、金属製品、機械、繊維、銀行等の弱さが目立っている。
指数インパクトの大きいところでは、東エレク (T:8035)、ファナック (T:6954)、リクルートHD (T:6098)が重石となる一方で、ファーストリテ (T:9983)、中外薬 (T:4519)、第一三共 (T:4568)、エーザイ (T:4523)が下支え。
連日でファーストリテが日経平均をけん引する形であり、インデックス買いが断続的に入っているとみられているが、本日も下支えとなっている。
また、セクターでは医薬品株の堅調さが目立ったが、一方で、鉄鋼、海運、空運、輸送用機器など、米中対立への警戒感のほか、経済活動再開への期待から足元での見直す流れが強まっていた反動といったところであろう。
前引けでTOPIXがマイナスだったこともあり、後場は日銀のETF買い入れへの思惑等もあったと考えられる。
また、東京都は、新型コロナウイルス対応に伴う休業要請の解除行程を3段階で示した「ロードマップ」について、6月1日午前0時に「ステップ2」に移行する方針を示したことから、より思惑的な動きにもつながったようである。
大引けにかけて伸び悩み、プラス圏はキープで出来なかったが、大引けでMSCIのリバランス需給の影響もあったとみられる。
トランプ大統領の会見を控えた模様眺めムードの中での底堅さが意識されやすく、会見を嫌気する流れとなったとしても、押し目買い意欲は強そうである。