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国内株式市場見通し:政府・日銀に対する思惑が相場の先高感を後退させない

発行済 2015-10-10 15:50
更新済 2015-10-10 16:00
国内株式市場見通し:政府・日銀に対する思惑が相場の先高感を後退させない
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■環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を好感 先週の日経平均は上昇。
9月末からリバウンド基調が強まり、7日まで6営業日続伸。
8日は利益確定の流れが優勢だったが、翌9日は前日の下落部分を吸収し、週間の高値で取引を終えた。
週明け5日の日経平均は280円高で18000円を回復。
米国では年内利上げ観測が後退したほか、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で大筋合意に達する見通しと報じられたことが材料視された。
翌日にはTPP交渉の大筋合意発表を受けて18300円を回復している。
6、7日の日銀による金融政策決定会合では、「金融政策の現状維持」を決定。
これを受けて先物市場では一時17990円と18000円を割り込む局面もみられた。
しかし、10月末での追加緩和期待は根強く、その後は理想的な切り返しをみせている。
■ファーストリテ急落、インバウンド関連への利益確定 一方で気掛かりな点がファーストリテイリング (TOKYO:9983)をはじめとする小売株などインバウンド関連の動向。
中国の国慶節からの大型連休明け後の動向が予想外の鈍い動きだったこともあり、関連銘柄への利益確定に向かわせた。
さらに週末にはファーストリテイリングが発表した決算が、計画に届かなかったほか、2016年8月期計画についてもコンセンサスを下回ったことが嫌気され急落。
ちょうど鉄鋼や非鉄、鉱業といった資源・素材関連が買い戻されるリターン・リバーサルの流れと、小売決算とが交じ合わさったことにより、リターン・リバーサルという物色の流れが強く表れた。
■米銀決算、リターン・リバーサルの流れは続くか 今週は米国ではJPモルガン、ゴールドマン・サックスといった大手金融機関の決算が予定されている。
前週末にはアルミ大手アルコアが発表した決算が予想に届かなかったことが嫌気され、時間外で弱い動きをみせていた。
原油安やドル高の悪影響が続いたことに加えて、中国を中心とする新興国の景気減速の悪影響が4-6月期以上に大きくなった可能性などを指摘する声も聞かれる。
米企業決算での慎重姿勢が、上値の重石となる可能性は意識しておきたい。
一方で、リターン・リバーサルの流れから資源・素材株への物色が目立っていたが、米企業の決算を受けて、更に強まることになるかが注目されるところであろう。
また、徐々に業績相場に移行するため、全体としての方向感は掴みづらくなる。
とはいえ、インバウンド関連への利益確定に対して、相対的に低迷していたセクターへのリターン・リバーサルが継続するようであれば、相場全体としてはじり高基調が続きやすい。
週末には大林組 (TOKYO:1802)が2Q業績予想の上方修正を発表し、これが他の建設株等への物色に波及する局面がみられるなど、市場のセンチメントは悪くないだろう。
■「一億総活躍社会」への期待も次第に高まる 内閣改造が行われた。
安倍首相が打ち出した新「3本の矢」、「一億総活躍社会を目指す」 GDP600兆円の目標に対して疑問の声も聞かれているが、建設等の上方修正の動きなどもあり、次第に政策への期待感が高まる可能性がある。
経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定する10月30日の日銀の金融政策決定会合で、追加緩和に踏み切る可能性。
なにより来月には郵政グループ3社の上場が控えている。
上場を成功させるためにも、政府・日銀に対する期待感などの思惑が、相場の先高感を後退させないとみておきたい。
経済指標では、13日に日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月14、15日分)、9月の中国貿易収支、10月の独ZEW景況感指数が予定されている。
14日には9月の中国消費者物価指数、9月の米小売売上高、米地区連銀経済報告(ベージュブック)の公表等が予定されている。
15日には9月の米消費者物価指数、16日には9月の米鉱工業生産指数が発表される。

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