[ドバイ 23日 ロイター] - 女性の頭髪を覆うスカーフの着用を巡る抗議活動が続くイランで、23日はこうした抗議活動に対抗するために政府が後押しするデモが行われ、軍は抗議の背後にある「敵の陰謀に立ち向かう」と表明した。当局がこれまでになく強い警告を発したことで、過去のデモ鎮圧時のような弾圧が行われる可能性がある。
イランの首都テヘランで今月半ば、22歳のマフサ・アミニさんが、女性に義務付けられている髪を覆う「へジャブ」の着用を巡り逮捕された後、意識がなくなり死亡。これを受け、アミニさんの出身地のクルディスタン州を含む複数の場所で抗議活動が続いている。
イラン軍はこの日、抗議活動は「イランのイスラム体制を弱体化させようとする敵の邪悪な戦略」とし、「安全と平和を確保するために敵の陰謀に立ち向かう」と表明。一連の抗議活動に対抗するために政府が組織したデモの参加者は、反政府デモ参加者を「イスラエルの手先」と非難。「米国に死を」「イスラエルに死を」「コーランに違反する者には処刑を」などと声を上げた。
政府に対する抗議活動は激化しており、テヘランやその他の都市で警察署や車が放火されるなどの事態に発展。国内メディアは22日に288人が逮捕されたと報じた。
こうした中、当局はインターネットのアクセスを制限。ネット監視団体「ネットブロックス」によると、モバイルインターネットが3回目の遮断を受けた。一方で、中央銀行や政府機関などのウェブサイトへのアクセスがここ数日阻害されている。
抗議活動はスペイン、ギリシャ、カナダ、オランダなどでも行われ、アミニさんの死の波紋は国外にも広がっている。