[モスクワ 7日 ロイター] - ロシアで来年3月17日に大統領選が実施される。プーチン大統領は再選を目指して出馬する公算が大きく、少なくとも2030年までの続投が決まる可能性がある。ロシア大統領選について概要をまとめた。
◎日程
大統領選は3月17日に実施され、勝者が5月に就任する予定。
上院が7日に採決によってこの日程を決め、事実上、選挙戦の開幕となった。
ロシア軍が新たに掌握したウクライナの一部地域でも投票が実施される。
◎有権者数
有権者総数は1億1000万人前後だが、投票するのは通常、7000万─8000万人程度。2018年大統領選の投票率は67.5%だった。
◎大統領の任期
プーチン氏は1999年末にエリツィン氏の後を継いで大統領代行に就任して以来、最高指導者としての在任期間がスターリン時代以来で最も長くなっており、旧ソ連のブレジネフ共産党書記長の18年間をも抜いた。
1993年成立のロシア憲法は西側から、旧ソ連後のロシアの民主主義につながる進展だと受け止められていた。当初は、大統領は4年の任期を最長2期連続で務められると定められていた。
しかし2008年の憲法改正で任期が6年に延長され、さらに2020年の改正で、2期を超える続投を禁じた文言が削除された。領土割譲の禁止も盛り込まれた。
◎プーチン氏は出馬するか
プーチン氏は立候補の有無をまだ明らかにしていないが、ロイターは先月、既に出馬を決心したと報じた。国家とメディアの支えがあるため、勝利は確実とみられる。
プーチン氏は1999年末にエリツィン氏から大統領代行に任命された後、2000年の大統領選で53.0%の票を獲得して勝利。04年大統領選の得票率は71.3%、12年は63.6%、18年は76.7%だった。
◎民主主義か独裁か
西側はプーチン氏を戦争犯罪人にして独裁者と見なしているが、世論調査での支持率は80%と、ウクライナ侵攻前より上昇している。
大統領府は、プーチン氏は国民から圧倒的な支持を得ており、西側に民主主義について説教される筋合いはないとしている。
◎選挙監視当局の見解
2018年の大統領選では、欧州安全保障協力機構(OSCE)の民主制度・人権事務所(ODIHR)が監視に当たった。
ODIHRは「投票率向上のための懸命な努力の結果、相当数の市民が投票を行ったが、集会、結社、表現の基本的自由や候補者登録に対する制限は、政治的関与の場を制限し、真の競争の欠如をもたらした」と指摘。「候補者は一般的に自由に選挙運動を行うことができたが、ほとんどのメディアが現職大統領について広範かつ無批判な報道を行ったため、競争環境は不公平だった。投票の秘密主義と集計の透明性に関する不備はあったものの、全般に選挙当日の手続きは秩序立っていた」としている。
独立系の選挙監視活動組織Golosはここ数カ月、リーダーが拘束されるなど当局から圧力を受けている。Golosはこれについて、当局が大統領選の監視を妨げるのが狙いだとしている。
◎他の立候補者
プーチン氏はほとんど競争に直面しないだろう。
ロシアで最も有名な野党政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏は刑務所にいるため、出馬できない。
戦争推進派の国家主義者、イーゴリ・ギルキン氏は、過激派扇動の疑いで拘束され裁判を待つ身だが、11月に大統領選出馬の意向を表明した。ただ、既に勝敗が明らかな「見せかけの」選挙だとしている。
2018年の選挙では、プーチンと2位につけた共産党のグルディニンの他、6人が立候補した。