[ワシントン 23日 ロイター] - 米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は23日、人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」を「90秒」と発表した。1947年の創設以来最短となった昨年から変わらず。ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ地区ガザ情勢に絡む核の脅威、気候変動、人工知能(AI)などを要因に挙げた。
同誌のレイチェル・ブロンソン社長兼最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「世界の紛争のホットスポットは核(の脅威)がエスカレートする脅威をはらんでいるほか、気候変動はすでに死や破壊を引き起こしている。AIや生物学的研究といった破壊的なテクノロジーは安全策を上回るペースで進歩している」と語った。
残り時間が前年と同じになったことは「世界が安定していることを示しているわけではない」とも強調した。
22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻については、「永続的な終結は遠いもようで、引き続きロシアがこの紛争で核兵器を使用する深刻な可能性が存在する。ロシアは過去1年、懸念される核に関するシグナルを数多く発してきた」と述べた。
核保有国であるイスラエルによるガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘も終末時計の残り時間の議論で考慮されるとし、「とりわけ懸念されるのは、同地域でより広範囲にエスカレートし大規模な通常戦争を引き起こし、より多くの核保有国などが巻き込まれることだ」とした。
また、気候変動による脅威を指摘。「23年は観測史上最も暑い年に見舞われ、温室効果ガス排出量も増加を続けており、世界は未知の領域に入った」と述べた。