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需要先別動向や注目製品の動向については、新中期経営計画の項で述べたところと重なる。
2017年3月期は新中期経営計画の初年度であり、最終年度のゴールを目指して、3年計画での各プロジェクトが動き出しているという状況だ。
品目別に見ると主力の集積回路は前期比0.2%減の57,600百万円が見込まれている。
産業分野では一定の回復が期待されるものの、自動車向けではモデルチェンジサイクルなどの関係から慎重にみていることが影響したと弊社では推測している。
半導体素子は同9.2%減の10,300百万円と予想されている。
これは、ルネサスエレクトロニクスが製品を絞り込んで一部の製品を廃止することが原因であり、事業環境の一段の悪化というわけではないもようだ。
表示デバイスは同12.1%増の2,200百万円が見込まれている。
これは、ジャパンディスプレイ (T:6740)品の代替として取り扱っている台湾GIANTPLUS社の中小型液晶パネルが、大手デジタルカメラメーカー向けに売り上げを伸ばしていることが理由だ。
その他が同34.9%増の9,900百万円と大きく伸びる計画となっているのは、前述したCSB製品の拡大と日立グループ品拡大による。
利益面では、営業利益が前期比3.5%増益の1,000百万円と予想されているが、弊社では保守的な印象をもっている。
売上高が80,000百万円に対して、売上高総利益率と売上高販管費比率が2016年3月期と同じ水準と仮定すると、営業利益は987百万円となり、予想の線に近づく。
しかし、前述のように、2017年3月期の増収要因は“その他”、すなわちCSB製品だ。
CSB製品は競争が激しい液晶など一部の製品を除けば、全社平均よりも高い利益率とみられる。
したがって、売上高総利益率は前期から拡大する可能性が高い。
販管費率の変動も考慮しなければならないため、一足飛びに営業利益の上振れ可能性を言うことはできないが、同社が成長を期待するCSB製品の伸長が、同社の利益率(特に売上高総利益率と営業利益率)にどういう影響を与えるのかは、大きな注目点であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)