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カドカワ Research Memo(1):今期は新規事業の開始や既存事業の業態変更のための積極的な投資を実行

発行済 2016-07-04 16:42
更新済 2016-07-04 17:01
カドカワ Research Memo(1):今期は新規事業の開始や既存事業の業態変更のための積極的な投資を実行
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カドカワ (T:9468)は、大手出版社の(株)KADOKAWAと日本最大級の動画コミュニティサービス「niconico」を運営する(株)ドワンゴが経営統合して2014年10月に誕生したメガコンテンツ・パブリシャーであると同時にデジタルコンテンツ・プラットフォーマーでもある。
書籍・電子書籍、雑誌・広告、映像の企画・製作・配信、動画サービス、モバイルコンテンツ配信、ゲームソフトウェアの企画・開発・販売、専門学校の運営など幅広い事業を展開する。
2016年3月期連結業績は、売上高200,945百万円、営業利益9,124百万円、経常利益10,189百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,845百万円となり、好業績を記録した。
主力事業の書籍IP事業で、電子書籍事業が想定以上に成長(書籍IP事業の5分の1強を占めるウエイトへ成長)したことに加えて、紙書籍事業で経営統合によって昨年4月に(株)KADOKAWAが大規模な構造改革を行った効果の顕在化により収益の改善が進んだことが原動力となった。
2017年3月期の会社計画は、売上高200,000百万円(前期比0.5%減)、営業利益3,100百万円(同66.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,750百万円(同74.4%減)と、売上高は横ばいながら大幅減益を見込む内容となった。
これは、書籍IP事業が収益性を回復し経営基盤が安定したことを手掛かりに、新規事業の開始や既存事業の業態変更のために積極的な投資が必要と判断。
これらの積極的な投資を行うことと、ゲーム事業やモバイル事業など一部の既存事業での減益予想を盛り込んだことによる。
具体的な投資の内訳として、1)「niconico」のリニューアル(高画質化対応やインフラ再構築)、2)スマートフォン向け新サービス、3)雑誌事業の収益モデル転換、4)インバウンド事業、5)ゲーム情報ポータル、6)ネット上の学習サービス、7)UGC※型投稿サイトの充実、の7つを挙げている。
これらのうち、Webサービス事業のniconicoリニューアルとスマートフォン向け新サービス、出版事業の雑誌事業の収益モデル転換の投資と、それに絡んだインバウンド事業などの投資のウエイトが大きいと見られる。
※User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略。
Consumer Generated Media(消費者生成メディア)で生成されるコンテンツ。
2016年2月にスタートした小説投稿サイト「カクヨム」が該当する。
この投資実行により、2015年5月に発表された中期経営計画(2016年3月期—2018年3月期)において事業育成期間として位置付けられていた2017年3月期は2016年3月期と同様に新規事業の開始や既存事業への積極投資を継続する期間へ変更されたため、収穫期(目標:営業利益18,000百万円~20,000百万円)も2018年3月期から1年後ずれし2019年3月期になる見通し。
弊社では、同社が見込んでいる既存事業の減益は保守的な見方によるところが大きいことなどを踏まえると、会社計画は上振れ余地があると考える。
加えて、経営統合後1年半余りで書籍IP事業の収益性の回復に成功したことを考慮すると、今回の積極的な投資の実行により、ポータル事業、情報メディア事業など既存事業の基盤強化や新規事業の立上げが進むことにより、中期的に同社の収益性が一段と高まることになると予想されるため、今後の投資の進捗について注目する。
■Check Point ・2016年3月期は主力の書籍IP事業の収益性回復に経営基盤が安定 ・電子書籍は直販、外部販売とも好調で書籍IP事業の5分の1強(22%)を占めるウエイトへ成長 ・2017年3月期は新規事業の開始や既存事業の業態変更のための積極投資期間 (執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

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