■財務状況とリスク要因
(1)財務状況
スリー・ディー・マトリックス (T:7777)の2016年7月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比496百万円減少の3,963百万円となった。
主な変動要因として流動資産では、研究開発にかかる前渡金が293百万円増加し、現預金が775百万円減少し、また、固定資産では保証金が1百万円減少した。
一方、負債合計は前期末比62百万円減少の462百万円となった。
主に流動負債に含まれる未払金で36百万円、未払法人税等で11百万円減少したことによる。
また、純資産は親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、前期末比434百万円減少の3,501百万円となった。
経営指標で見れば、期間業績の悪化に伴い自己資本比率が前期の81.1%から80.3%に低下している。
現預金は7月末で2,736百万円まで減少しており、第2四半期以降も費用が先行する状況が続くことから、資金調達が必要となる。
同社では、当面は銀行からの借入により事業活動資金を賄っていく方針としている。
現在、メインバンクとコミットメントライン契約を締結しており、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行合計で総枠1,300百万円の借入枠を設定しており、同枠内で資金を調達していくことになる。
2018年4月期に止血材の販売契約締結が実現すれば、営業利益も黒字化することになり、資金面でのリスクもなくなることが予想される。
逆に、2018年4月期も製品販売や販売契約の状況に進捗がなければ、更なる借入枠の設定もしくは株式市場からの資金調達が必要となることも考えられる。
(2)事業リスクについて
同社は過去数期間にわたって、事業計画を下方修正してきた。
その要因は、主要パイプラインである止血材に関して、欧州での販売提携契約が計画どおり実現せず交渉が長期化していること、また日米での治験開始時期についても関係当局の協議が想定以上に長引いており、当初の計画から遅延していることなどが要因となっている。
このため、今後も販売契約の締結が進まない、または日米での関係当局との協議が長引く状況が続けば、今後の事業計画においてマイナスの影響が出る可能性がある。
また、止血材の販売は2016年4月期に始まったものの、売上規模はまだわずかな額であり、軌道に乗るまでには、なお時間を要するものと思われる。
とはいえ、止血材を使った医師からの評価は良好で、約900件の臨床実績の中で不具合の発生報告もなく、安全性について問題がないことから、弊社では今後、売上は着実に拡大していくものと見ている。
しかしながら、競合メーカーとの競争激化や同社製品の性能を凌駕する新たな止血材が登場した場合には、売上が計画どおり伸びず、業績面でマイナスの影響が出る可能性がある。
なお、2014年に米国でMITと同社の米子会社が、メニコン (T:7780)とB-Bridge International Inc.に対して、メニコンが保有する自己組織化ペプチド技術に関する特許の再審査請求を行っていたが、2016年2月に連邦地方裁判所において同特許が有効との判決が成されている。
これにより、同特許に該当する製品であるメニコンの研究試薬用製品「PanacealGelTM」の販売は継続されることになるが、同判決による同社の業績や止血材への影響はないと同社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(1)財務状況
スリー・ディー・マトリックス (T:7777)の2016年7月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比496百万円減少の3,963百万円となった。
主な変動要因として流動資産では、研究開発にかかる前渡金が293百万円増加し、現預金が775百万円減少し、また、固定資産では保証金が1百万円減少した。
一方、負債合計は前期末比62百万円減少の462百万円となった。
主に流動負債に含まれる未払金で36百万円、未払法人税等で11百万円減少したことによる。
また、純資産は親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、前期末比434百万円減少の3,501百万円となった。
経営指標で見れば、期間業績の悪化に伴い自己資本比率が前期の81.1%から80.3%に低下している。
現預金は7月末で2,736百万円まで減少しており、第2四半期以降も費用が先行する状況が続くことから、資金調達が必要となる。
同社では、当面は銀行からの借入により事業活動資金を賄っていく方針としている。
現在、メインバンクとコミットメントライン契約を締結しており、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行合計で総枠1,300百万円の借入枠を設定しており、同枠内で資金を調達していくことになる。
2018年4月期に止血材の販売契約締結が実現すれば、営業利益も黒字化することになり、資金面でのリスクもなくなることが予想される。
逆に、2018年4月期も製品販売や販売契約の状況に進捗がなければ、更なる借入枠の設定もしくは株式市場からの資金調達が必要となることも考えられる。
(2)事業リスクについて
同社は過去数期間にわたって、事業計画を下方修正してきた。
その要因は、主要パイプラインである止血材に関して、欧州での販売提携契約が計画どおり実現せず交渉が長期化していること、また日米での治験開始時期についても関係当局の協議が想定以上に長引いており、当初の計画から遅延していることなどが要因となっている。
このため、今後も販売契約の締結が進まない、または日米での関係当局との協議が長引く状況が続けば、今後の事業計画においてマイナスの影響が出る可能性がある。
また、止血材の販売は2016年4月期に始まったものの、売上規模はまだわずかな額であり、軌道に乗るまでには、なお時間を要するものと思われる。
とはいえ、止血材を使った医師からの評価は良好で、約900件の臨床実績の中で不具合の発生報告もなく、安全性について問題がないことから、弊社では今後、売上は着実に拡大していくものと見ている。
しかしながら、競合メーカーとの競争激化や同社製品の性能を凌駕する新たな止血材が登場した場合には、売上が計画どおり伸びず、業績面でマイナスの影響が出る可能性がある。
なお、2014年に米国でMITと同社の米子会社が、メニコン (T:7780)とB-Bridge International Inc.に対して、メニコンが保有する自己組織化ペプチド技術に関する特許の再審査請求を行っていたが、2016年2月に連邦地方裁判所において同特許が有効との判決が成されている。
これにより、同特許に該当する製品であるメニコンの研究試薬用製品「PanacealGelTM」の販売は継続されることになるが、同判決による同社の業績や止血材への影響はないと同社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)