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カドカワ Research Memo(7):上期の出版事業の業績好調を反映し業績予想を上方修正

発行済 2016-12-12 15:59
更新済 2016-12-12 16:33
カドカワ Research Memo(7):上期の出版事業の業績好調を反映し業績予想を上方修正
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■業績動向

(4) 2017年3月期見通し

a)会社計画の概要
カドカワ (T:9468)は、第2四半期累計期間の業績が紙書籍を中心に想定を上回ったことを手掛かりに、2017年3月期の期初会社計画(売上高200,000百万円、営業利益3,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,750百万円)を売上高202,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益6,000百万円(同34.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円(同41.6%減)へ、売上高、利益ともに上方修正した。


同社では、売上高を2,000百万円、営業利益を2,900百万円上方修正した要因として、メディアミックス作品の好調等により紙書籍が好調に推移したことが原動力となり、上期業績が上振れたことを挙げている。
なお、下期については、売上高、利益ともにセグメントごとの入り繰りはあるものの、トータルとしてはおおむね期初時点の計画どおりの数値を据え置いたとしている。


なお、2017年3月期の減益要因となっている将来の継続的な成長のための積極投資については、上期はほぼ計画どおりに進捗しており、年間で4,650百万円の新規投資(損益計算書影響額、前期比で3,380百万円増)を行う計画に変更はない。
ちなみに、投資の具体的な内容は、1)「niconico」のリニューアル(高画質化対応やインフラ再構築)、2)スマートフォン向け新サービス、3)雑誌事業の収益モデル転換、4)インバウンド事業、5)ゲーム情報ポータル、6)ネット上の学習サービス、7) UGC型投稿サイトの充実、の7つとなっている。


b)セグメントごとの会社計画の修正
セグメントごとの会社計画の修正について具体的に見ると、Webサービス事業は、売上高は期初計画通りの32,000百万円(前期比3.4%減)に据え置かれたものの、営業利益は2,500百万円(同46.1%減)へ期初計画比200百万円下方修正された。
これは、スマートフォン向けの新サービスのリリースが18年3月期にずれ込んだことや、ライブ事業のスポンサー収入の見通しの動向などのマイナス要因と、ニコニコチャンネルの会員(有料チャンネルの総登録者数は2016年5月末に50万人を突破、9月末には56万人となっている)が順調に拡大しているプラス要因とを勘案した結果による。


出版事業については、上期の電子書籍・雑誌の好調、紙書籍の計画上振れに加えて、グループ内の出版社を統合し、ワンカンパニー制が定着した効果による出版事業の収益力の向上等を織り込み、売上高で2,000百万円、営業利益で2,500百万円上方修正され、売上高は109,000百万円(前期比3.6%増)、営業利益は6,900百万円(同9.3%増)となった。


映像・ゲーム事業は、売上高は期初計画どおりの44,000百万円(同0.6%減)に据え置かれたものの、営業利益は3,200百万円(同11.5%減)へ700百万円上方修正された。
KADOKAWAが製作委員会に出資する映画「君の名は。
」が想定していた以上にヒットし、ロングランとなったことによる配給収入の増加を反映させたことが主な要因。


その他事業は、売上高は20,000百万円(同6.3%減)と期初計画どおりであるものの、営業損失は1,600百万円へ下方修正された。
これは、主にトレーディングカードの下振れが大きい。
また、全社・消去は、統合効果等により合理化が進んだために一般管理部門の費用が減少する見通しとなったことから、マイナス5,200百万円から5,000百万円へ200百万円上方修正された。


弊社では、1) Webサービス事業ではスマートフォン向けの新サービスが18年3月期にずれ込んだマイナス要因があるものの、順調に拡大しているニコニコチャンネルの成長が加速する、niconicoのリニューアル(高画質化対応)の効果が顕在化する、2)出版事業では、ワンカンパニー制による収益力向上・安定が継続する、3)映像・ゲーム事業では、映画「君の名は。
」のロングラン化による配給収入の上乗せや、第3四半期の「劇場版 艦これ」、「聖の青春」が好調であるほか、TV放映アニメ「文豪ストレイドッグス」、「ブレイブウィッチーズ」、「ブブキ・ブランキ 星の巨人」などのメディアミックス作品による収益が期待できる——などを考慮すると、会社計画は保守的であると見る。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

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