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日本アジア投資 (T:8518)は、財務体質の改善に一定のめどが立ったことから、今後はリスクやコストを一定の範囲内にコントロールしながら、営業投資資産の入れ替えや優良資産の積み上げによる投 資事業拡大に向けて舵を切る方針である。
特に2020年3月期までには、これまで縮小傾向にあったファンド運用残高の増加を目指すとともに、メガソーラープロジェクトについても、 引き続き、事業規模の拡大を目指す構えである。
一方、2020年3月末のバランスシート(従来連結基準)のイメージについては、借入金の返済と内部留保の積み増しによってデット・エクイティ・レシオ※1倍(2016年3月末実績は3.38倍)を目安にするとともに、営業投資有価証券等のうち比較的リスクの小さい再生可能エネルギー(メガソーラープロジェクト)を除く投資残高(ベンチャー企業等への投資残高)をエクイティ(純資産)の範囲内に抑える方針としている。
※借入金を純資産で割り算した数値であり、小さいほうが財務基盤の安定性が高い。
また、2020年3月期の損益の状況(従来連結基準)についても、安定収益である再生可能エネルギー関連利益(3億円)と管理報酬(10億円)で、固定費(販管費)13億円を賄うとともに、不確実性が比較的高いキャピタルゲインでアップサイドの利益を狙う安定的な収益構造への変革を目指している。
弊社でも、これまでの課題となってきた財務体質の改善に一定のめどが立ったことや、安定収益の確保を目的として取り組んできたメガソーラー事業投資も順調に進展していることから、これからの運用資産拡大に向けた動きに注目している。
特に、上期における管理報酬の約40%は満期まで4年未満のファンドからのものであり、この穴を埋めていくことはもちろん、更なる優良資産の積み上げを図ることが同社成長にとっては大きな課題と言える。
上期においてはファンド設立に遅れがみられたが、豊富な実績や幅広いネットワークを持つFEとの連携がカギを握るものとみており、今後の動向をフォローしていきたい。
一方、メガソーラー事業投資については、プロジェクトの一部売却も選択肢に加えた方針へと転換を行っているが、外部環境の変化等を背景として含み益が拡大していることや、それを実現できる機会が増えていることは同社にとって追い風と言える。
経営判断の幅が広がることに加えて、損益面でのバッファーとなるところは大きなアドバンテージになるものと考えられる。
また、有利な条件での売却機会を得ることにより業績が上振れる可能性にも注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)