■業績動向
1. 2017年3月期の業績概要
(1) 損益状況
ハピネット (T:7552)の2017年3月期の連結業績は、売上高174,059百万円(前期比7.1%減)、営業利益3,698百万円(同7.2%増)、経常利益3,479百万円(同0.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,040百万円(同13.5%減)となった。
大型ヒット商品がなかったことから、各セグメントとも減収となったが、適正な在庫処理を行うことができたことから、玩具事業やビデオゲーム事業で在庫処分損が合わせて約1,521百万円減少し、営業利益は前期比で増益となった。
ただし、営業外費用として持分法による投資損失283百万円を計上したことから経常利益はわずかだが減益となり、さらに特別損失として、固定資産除却損276百万円(主にソフトウェア)や関係会社(ハピネットライブエモーション)の株式評価損57百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比13.5%の減益となった。
2015年3月期に大ヒットした「妖怪ウォッチ」のような大型商材がなかった厳しい環境下で、内部の在庫管理を徹底したことで営業増益を確保したことは評価できるだろう。
結果としては、健闘した決算だったと言える。
(2) セグメント別状況
a) 玩具事業
売上高は73,725百万円(前期比4.1%減)、セグメント利益は3,044百万円(同6.9%増)となった。
バンダイの「仮面ライダーエグゼイド」などのキャラクター商材が好調に推移したものの、大きく市場全体をけん引するところまでには至らず、売上高としては苦戦した。
しかし利益面では、適正在庫の維持に努めたことから在庫処分金額が700百万円(前期1,800百万円、前々期1,600百万円)と大幅に減少したことで、セグメント利益は前期を上回った。
メーカー別売上高では、主力のバンダイ製品が37,600百万円(前期比10.4%減)となり、メーカー別の売上比率は51.0%(前期は54.6%)へ低下した。
一方で、ベイブレードのヒットもありタカラトミー製品が7,000百万円(前期比41.6%増)と増加したことから、メーカー別売上比率も9.6%(前期は6.5%)と上昇した。
b) 映像音楽事業
売上高は34,890百万円(前期比9.1%減)、セグメント利益は418百万円(同10.4%減)となった。
「シン・ゴジラ」など一部ヒット作品はあったものの、パッケージ市場全体が低迷するなかで同社の売上高も低調に推移した。
利益面でも、一部の自社作品で投資損失を計上したことから、セグメント利益は前期を下回った。
ただしメーカー部門の収益は、期の後半に向かって改善傾向となってきたので、今後の収益改善に期待が持てそうだ。
c) ビデオゲーム事業
ソフト配信やスマートフォン向けゲームの普及の影響等によりパッケージ市場全体が低迷するなか、同社でもヒット商品の不足により売上高は44,793百万円(前期比10.4%減)となった。
ただし利益面では在庫の処分金額が100百万円(前期は500百万円)へ減少したことからセグメント利益は384百万円(前期は43百万円の損失)と大幅に改善した。
商材別売上高では、任天堂が33,800百万円(前期比16.5%減)、SIEが9,900百万円(同24.8%増)、その他が1,000百万円(同33.6%減)となったことから、任天堂の構成比率が前期の81.1%から75.6%へ低下した。
「Nintendo Switch」については、3月の発売当初から好調に推移しているが、発売の前にその他商品の買い控えが発生し、2017年3月期の任天堂商材の売上は前期を下回った。
SIEの売上高が増加したのは、「PlayStation4」の影響による。
d) アミューズメント事業
売上高は20,649百万円(前期比6.2%減)、セグメント利益は1,281百万円(同22.4%減)となった。
イベント会場での販売など新たな施策を推進したが、カプセル玩具自動販売機、キッズカードゲーム機商材ともにリード商材が不在であったこと、さらに新型キッズカードゲーム筐体の導入等に伴う費用(約550百万円)が発生したこと等により売上高、利益ともに前期を下回った。
特に比較的利益率のよいカードゲームでのリード商材不在が利益を大きく下げる結果となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 2017年3月期の業績概要
(1) 損益状況
ハピネット (T:7552)の2017年3月期の連結業績は、売上高174,059百万円(前期比7.1%減)、営業利益3,698百万円(同7.2%増)、経常利益3,479百万円(同0.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,040百万円(同13.5%減)となった。
大型ヒット商品がなかったことから、各セグメントとも減収となったが、適正な在庫処理を行うことができたことから、玩具事業やビデオゲーム事業で在庫処分損が合わせて約1,521百万円減少し、営業利益は前期比で増益となった。
ただし、営業外費用として持分法による投資損失283百万円を計上したことから経常利益はわずかだが減益となり、さらに特別損失として、固定資産除却損276百万円(主にソフトウェア)や関係会社(ハピネットライブエモーション)の株式評価損57百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比13.5%の減益となった。
2015年3月期に大ヒットした「妖怪ウォッチ」のような大型商材がなかった厳しい環境下で、内部の在庫管理を徹底したことで営業増益を確保したことは評価できるだろう。
結果としては、健闘した決算だったと言える。
(2) セグメント別状況
a) 玩具事業
売上高は73,725百万円(前期比4.1%減)、セグメント利益は3,044百万円(同6.9%増)となった。
バンダイの「仮面ライダーエグゼイド」などのキャラクター商材が好調に推移したものの、大きく市場全体をけん引するところまでには至らず、売上高としては苦戦した。
しかし利益面では、適正在庫の維持に努めたことから在庫処分金額が700百万円(前期1,800百万円、前々期1,600百万円)と大幅に減少したことで、セグメント利益は前期を上回った。
メーカー別売上高では、主力のバンダイ製品が37,600百万円(前期比10.4%減)となり、メーカー別の売上比率は51.0%(前期は54.6%)へ低下した。
一方で、ベイブレードのヒットもありタカラトミー製品が7,000百万円(前期比41.6%増)と増加したことから、メーカー別売上比率も9.6%(前期は6.5%)と上昇した。
b) 映像音楽事業
売上高は34,890百万円(前期比9.1%減)、セグメント利益は418百万円(同10.4%減)となった。
「シン・ゴジラ」など一部ヒット作品はあったものの、パッケージ市場全体が低迷するなかで同社の売上高も低調に推移した。
利益面でも、一部の自社作品で投資損失を計上したことから、セグメント利益は前期を下回った。
ただしメーカー部門の収益は、期の後半に向かって改善傾向となってきたので、今後の収益改善に期待が持てそうだ。
c) ビデオゲーム事業
ソフト配信やスマートフォン向けゲームの普及の影響等によりパッケージ市場全体が低迷するなか、同社でもヒット商品の不足により売上高は44,793百万円(前期比10.4%減)となった。
ただし利益面では在庫の処分金額が100百万円(前期は500百万円)へ減少したことからセグメント利益は384百万円(前期は43百万円の損失)と大幅に改善した。
商材別売上高では、任天堂が33,800百万円(前期比16.5%減)、SIEが9,900百万円(同24.8%増)、その他が1,000百万円(同33.6%減)となったことから、任天堂の構成比率が前期の81.1%から75.6%へ低下した。
「Nintendo Switch」については、3月の発売当初から好調に推移しているが、発売の前にその他商品の買い控えが発生し、2017年3月期の任天堂商材の売上は前期を下回った。
SIEの売上高が増加したのは、「PlayStation4」の影響による。
d) アミューズメント事業
売上高は20,649百万円(前期比6.2%減)、セグメント利益は1,281百万円(同22.4%減)となった。
イベント会場での販売など新たな施策を推進したが、カプセル玩具自動販売機、キッズカードゲーム機商材ともにリード商材が不在であったこと、さらに新型キッズカードゲーム筐体の導入等に伴う費用(約550百万円)が発生したこと等により売上高、利益ともに前期を下回った。
特に比較的利益率のよいカードゲームでのリード商材不在が利益を大きく下げる結果となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)