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nmsホールディングス (T:2162)は、2017年4月に持株会社制に移行した。
製造派遣・製造請負のHS事業を母体としてきたが、同事業は、分社化した子会社(日本マニュファクチャリングサービス、以下nms)に移管し、これまでに買収・事業譲受したEMS事業と電源装置・部品のPS事業と同列とした。
新体制の下、顧客の多種多様なニーズに合わせて、日本式の質の高いモノづくりをグローバルに提供するというビジネスモデルでグループシナジーを発揮することになるだろう。
1. 新体制でグループシナジーを追求
「人づくりとモノづくり」の融合によるサービスを提供する同社において、グループシナジーは成長への大きな鍵であり、持株会社体制への移行により同社がどう変化していくかに注目が集まろう。
特に、人材サービスとEMSノウハウの融合によるサービスの海外展開や、製造業の上流工程である設計から関わるPS事業でのグループ内リソースの活用による基盤強化、モノづくりを軸とした、グループリソース結集による新たなビジネス創出など、グループパワーを最大限に発揮したサービスを提供し差別化を図ること、また、新体制により利益体質の強化、成長への構造改革が進むことは、市場からも期待されており、新体制による中期ビジョンに注目したい。
2. 業績動向
2017年3月期は、売上高が前期比12.2%減の54,581百万円、営業利益が同49.8%減の974百万円、経常利益が同58.4%減の561百万円で、減収、営業利益、経常利益で減益となった。
HS事業は収益性を大きく改善したものの、EMS事業はチャイナ・プラス・ワンの動きに合わせて中国EMS事業の事業統廃合により減収減益となった。
PS事業は既存製品の需要調整や新分野への製品投入までの端境期のため大幅に業績が悪化した。
2018年3月期は、売上高が前期比4.7%減の52,000百万円、営業利益が同12.9%増の1,100百万円、経常利益が同78.0%増の1,000百万円で増益を見込む。
HS事業は、中国からのシフトの受け皿となるベトナムの事業が非連結であったが、今期から連結対象となる模様。
ベトナムでは「人材派遣+製造受託」ビジネスが立ち上がっており、今後の規模拡大が期待されている。
EMS事業は構造改革の効果から、増益に転じる見込みだ。
PS事業は、今期が業績端境期となり、新製品の投入が下期以降に予定されている。
3. 国境を越えた人づくり・モノづくり
アジア太平洋地域の政治、経済界のリーダーが集う国際交流会議「アジアの未来」の協賛会社となっており、アジアの国・地域との高度ネットワーク構築への取り組みを行っている。
同社グループは、アジアの国・地域に展開する企業が直面する、事業機会があるもののリソース不足により安定した海外現地生産が難しいという課題に対し、人材リソースとEMSノウハウを融合させたサービスを提供している。
また、自社が主体となって労務管理や教育・育成を行うことで人的リソースの高度化を図っている。
タイでは、失業率が1%前後でありながら、日本のモノづくり品質を実現するための高度人材の不足が著しいタイでは、カンボジア人材の活用を積極化している。
海外技能実習生制度の活用なども行っており、外国人材が日本のモノづくりを学び、それを母国に広め社会の発展に貢献していくことへの取り組み・スキームにも着目している。
■Key Points
・持株会社制度へ移行しグループシナジーを追求
・2017年3月期は、事業再編とPS事業が端境期で減収、営業減益、経常減益
・2018年3月期は、構造改革の効果により増益を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)