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1. 2017年3月期の連結業績概要
nmsホールディングス (T:2162)の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比12.2%減の54,581百万円、営業利益が同49.8%減の974百万円、経常利益が同58.4%減の561百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.5%増の493百万円となった。
HS事業は、売上高が前期比5.2%増加し、営業利益が同91.3%伸びた。
国内事業は、正社員化や福利厚生の充実による採用力の強化と定着率の向上を図り、採用費用を抑制した。
管理体制の強化により生産効率が改善すると同時に顧客への単価交渉に一部成功したため収益性を改善できた。
EMS事業が同9.9%の減収、同70.3%の減益となった。
国内事業は、前期にTKRが実施した国内工場の統合等の構造改革による利益改善効果があったものの、中国経済の減速による工作機械関連の受注が減少した。
海外では、マレーシアが白物家電を中心に好調な業績を維持した。
一方、中国では、志摩電子工業が深センの子会社を解散した影響が出た。
PS事業は、同29.4%の減収、同58.9%の減益であった。
既存製品の需要調整や新規分野への製品投入までの端境期となった。
グループ内の機能統合によりEMS事業から技術者(開発者)の異動があり固定費が増加した。
一方、一部製造プロセスにおけるグループ内リソースの活用や経費の見直しにより、計画に対しては想定を上回る利益を確保した。
PSTのグループ内での役割を、より開発にシフトした。
営業外費用の為替差損が前期の449百万円から257百万円へ減少したこともあり、営業外収支は前期の589百万円の損失から412百万円の損失へ減少したものの、営業利益額が小さくなったこともあり、経常利益の落ち込み幅が大きくなった。
特別損益では、2016年3月期に国内工場の再編に伴い減損損失(241百万円)を計上したが、2017年3月期は同子会社の土地建物売却による固定資産売却益622百万円が発生した。
中国子会社の清算損(180百万円)を補って、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な増益となった。
2. 財務状況と経営指標
(1) 連結貸借対照表
2017年3月期末の総資産は、24,559百万円と前期末比1,674百万円減少した。
中国のEMS工場の統廃合による減収のため、受取手形及び売掛金と棚卸資産がそれぞれ1,393百万円、999百万円減少した。
投資その他の資産では、海外関連会社への出資金が100百万円、貸付が374百万円増加した。
負債は、減収と棚卸資産の減少により支払手形及び買掛金が1,871百万円減った。
純資産は、自己株式取得(620百万円の損失)もあり、459百万円減少した。
(2) 財務指標
財務の安全性を見る指標は、流動比率が前期末比1.5ポイント減の115.3%、自己資本比率が同0.6ポイント減の18.9%へ低下した。
総合的な指標となるROEは、前期比2.5ポイント増の10.1%と高水準であった。
ただし、売上高当期純利益率が上昇したのは特別利益によるためであり、財務レバレッジも5倍超と依然高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)