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マーケットE Research Memo(4):増収ながら営業損失で着地。成長投資が着実に実行され、実りのある内容と評価

発行済 2017-10-04 16:33
更新済 2017-10-04 17:00
マーケットE Research Memo(4):増収ながら営業損失で着地。成長投資が着実に実行され、実りのある内容と評価
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■業績動向

マーケットエンタープライズ (T:3135)の2017年6月期は、売上高5,630百万円(前年同期比15.8%増)、営業損失7百万円(前期は96百万円の利益)、経常利益4百万円(同95.5%減)、親会社株主に帰属する当期損失19百万円(前期は49百万円の利益)で着地した(同社はMVNO事業を手掛ける子会社MEモバイルを今期第2四半期から連結して連結決算に移行したため、前年同期比較は参考値)。


連結決算の移行に伴い同社は業績予想を修正したが、その予想に対して売上高で約300百万円、営業利益で12百万円それぞれ未達となった。


売上高は積極的な広告宣伝の実施やアライアンス強化に伴う商品取扱量の増加によって前期比15.8%の増収となった。
計画との比較では越境ECやAmazon買取サービスなどが想定を下回ったことや、売上げよりも利益を重視して無用な売り急ぎを抑制したことで、計画に対して約300百万円の未達となった。


一方、収益動向を左右するKPIの月間平均買取依頼件数や平均販売単価は、それぞれ約36,000件/月(前期は約30,000件/月)、約28,000円(前期は約25,000円/月)と、着実に上昇している。


利益面では、在庫について保守的に再評価を実施した結果在庫の評価減が発生して原価を押し上げ、売上総利益が前期比10.1%増にとどまった。
売上高売上総利益率は2016年6月期の45.6%から2017年6月期は43.3%に低下した。
販管費は、人件費、設備関連費、広告宣伝費がいずれも前期比20%前後の伸びとなり、販管費全体では前期比15.5%増となった。
対売上高比率は前期の43.6%から今期は43.5%となり、売上総利益率を上回った。
その結果、営業利益段階ではわずかながら営業損失となった。
営業外収入において徳島コンタクトセンター開設に伴う助成金収入があり、経常利益は黒字となったが、繰延税金資産取り崩しに伴う税金費用の増加があり、親会社株主に帰属する当期純利益段階では再び損失となった。


2017年6月期決算について弊社では、プラス、マイナス両面は入り混じっているものの、全体としてはほぼ計画どおりで実りのある決算だったと評価している。
営業損失は在庫評価減の影響によるもので原因がはっきりしている。
今期は投資の期間との位置付けでもともと利益水準を低めに設定していたため評価減の影響を吸収しきれなかったということだ。
一方、詳細は後述するが、成長のための布石は着実に打たれたほか、農機具等新たな成長領域への進出もあった。
越境ECなど当初の計画を修正したものもあるが、差し引きするとプラスが残ったという評価だ。


弊社のこうした見方を補強する1つの材料として四半期ごとの業績推移がある。
同社の業績には季節性があり、第1四半期(7月−9月期)が最も低水準で、その後順次拡大して第4四半期が最も高くなる傾向がある。
背景はリユース品取引需要にとって最大のイベントが引っ越しであり、それが2月から4月頃にピークを迎えるためだ。
同社へのリユース取引需要はそこから1〜2ヶ月のラグを伴って発生する。
2017年6月期は第1四半期の赤字幅が例年よりも大きく拡大した。
前述の徳島コンタクトセンターの稼働に伴う人件費増などがあったためだ。
その後は順調に利益は回復したが、第4四半期は在庫評価減を断行したため利益が圧縮された。
すなわち、各四半期の損失・利益は一時的要因の影響を受けているものの、同社の収益構造や事業環境には従来から大きな変化は起こっていないということだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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