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宇徳 Research Memo(3):物流事業の拡大にチャレンジ中

発行済 2017-12-11 15:33
更新済 2017-12-11 16:00
宇徳 Research Memo(3):物流事業の拡大にチャレンジ中
9358
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■宇徳 (T:9358)の事業概要

港湾、物流、プラント事業の3事業を中核とした総合物流事業者になる。
2017年3月期の連結営業収入51,041百万円の事業別構成比は、港湾事業が45.9%、プラント・物流事業が53.1%、その他が1.0%であった。


1. 港湾事業
港湾事業では、港湾荷役のプロフェッショナルとして、ターミナル等のオペレーションを行うとともに、船舶の手配から輸出入通関、指定場所配送まで一貫した作業を行う。
京浜港(東京、横浜、川崎)、千葉港、茨城港を中心に、コンテナ船・自動車専用船・在来船・RO/RO船・重量物船等各種本船荷役を行っている。
「安全作業の宇徳」という伝統のもと、顧客からの信頼を得ている。


(1) コンテナ船荷役
コンテナ船荷役は、1968年、本格的な海上コンテナ輸送時代の到来に合わせて開始した。
同分野のパイオニアであり、京浜港で代表的なコンテナターミナルオペレーターである。
コンテナターミナルの運営には、コンテナを蔵置する広いヤードとコンテナを取り扱うための大型クレーン等の荷役機器・設備を必要とする。


2011年4月に、国際コンテナターミナルを吸収合併した。
両社とも商船三井の連結子会社であり、合併することで2社の経営資源を集約して企業基盤を強化し、総合力を高めた。
合併効果もあり、2012年3月期の商船三井向け営業収入は前期比53.1%増となり、同社への営業収入の依存度が同3.2%ポイント増の22.0%になった。
それ以降、商船三井向け年間営業収入は100億円前後で推移しており、2017年3月期が103億円、依存度は20.2%であった。


(2) 自動車専用船
同社は、自動車専用船の荷役を行っている。
自動車メーカーは、適地適量生産の方針を取っており、取扱量が大きく伸びる状況にはない。


2. プラント・物流事業
2014年3月期よりセグメントの表記を、「物流事業」と「プラント事業」から「プラント・物流事業」とした。
事業規模の拡大や新たなビジネス創出の体制を整えるべく、グループの強みである重量物輸送関連業務を強化するための組織変更であった。


(1) 特徴−重量物輸送の一貫作業サービスに強み
同社の特色は、長期間にわたって培ってきた技術とノウハウによる重量物輸送や大型プラントの輸送と建設にある。
港湾運送事業において広範囲に多様な形態のサービスを提供できる国内でも数少ない会社の1つだ。
重量物取扱いの技術を生かした重量物・長尺物の荷役や特殊機材を駆使したRO/RO船のオペレーションについては、国内外において他社に技術支援サービスを提供する水準を誇っている。
港湾、物流、プラントの総合力により、重量貨物の搬出、陸上輸送、はしけ輸送、重量物運搬船への積込、現地での機器輸送・据付までをすべて行う「直営一貫作業サービス」に力を発揮する。


(2) 物流事業
物流事業では、自社の倉庫や車輌、海外のネットワークを生かし、最適な輸送手段の選定からトータルコストセービングまで、顧客ニーズに対応したきめ細やかな複合一貫サービスを提案する。
あらゆる品目に対応した輸出入・通関・倉庫保管、豊富な運搬車輌とネットワークによる海上・陸上・複合一貫輸送等、安全・安心な物流サービスを提供。
荷役作業や現地での輸送・据付まで、一貫して自社ネットワークでコーディネートできる。


a) 保有機器
重量物の輸送には、特殊車輌やリフトが欠かせない。
同社は、1983年よりドイツ製の特殊車輌「スーパーキャリア」を導入しており、第6世代機を含め計26台(104軸)を保有している。
自社所有の特殊車両を使用した物流サービスは、収益性が高くなる。


b) 発電設備の輸送
スーパーキャリアなどの特殊車輌は、火力発電所の建設などに力を発揮する。
同社は、30年以上にわたり京浜・京葉地区の湾岸火力発電所の新設・増設工事に携わってきており、環境にやさしい最新鋭の火力発電所の建設に当たっても輸送・据付能力が生かされる。


c) 橋梁の架替工事
特殊機材は、橋梁の架替などでも活躍する。
あらかじめ組立てられた橋桁をスーパーキャリアにより所定位置
まで運搬し、ミリ単位の調整を行いながら据付する。
不要となった既設の橋桁は、スーパーキャリアやスーパーテーブルリフトを用いて一体で撤去する。
高速道路を夜間通行止めにし、数時間内に終了させなければならない工事では、事前に綿密な計画を立て、それを実現するためのオペレーション訓練を重ねて行う。


d) 製鉄設備の直営一貫作業サービス
製鉄所の主要設備据付工事なども手掛けている。
過去には、電炉メーカーの設備投資に関連して、連続鋳造設備など主要設備が海外から輸入されるため、輸入通関と国内輸送、構内の据付工事など直営一貫作業サービスを提供できる同社が元請企業となった。


e) 物流センター
同社の倉庫・保管施設は、大井埠頭などに東京に7ヶ所、神奈川県の大黒埠頭などに4ヶ所、千葉と福岡に各1ヶ所のネットワーク網を築いている。
従来、物流センターは湾岸地域に限られてきたが、新しい試みとして内陸型の物流センターを開設した。
2016年4月より操業を始めた「町田物流センター」は、東名高速道路の横浜町田インターから至近にある多層階建物のワンフロア15,696平米 (4,748坪)を借り受けた。
主に住宅建設用住設品・造作材の保管・仕分け・配送を行っている。
湾岸地域で従事していなかったサードパーティーロジスティクス的なサービスを行っている。
今後の進展を見て、内陸型物流センターの複数拠点展開を検討する。




(3) プラント事業
プラント事業では、長年の重量物輸送の経験と実績から、発電設備や石油精製・化学プラント建設における輸送据付等において設計・計画から施工管理まで安全・安心のサービスを提供する。
多彩な特殊機材とそれを扱う高い技術力で幅広い施工に対応し、設計・計画から保守管理まですべてのプロセスをトータルマネジメントしている。


a) 海外事業
同社のシンガポールにあるエンジリアリング子会社であるUTOC ENGINEERING PTE. LTD.(以下、UTOCエンジ)は、2010年4月にSHELLの世界最大規模の石油化学コンビナートの中核を担うエチレンプラントを、さらに2017年に同国ジュロン島において、EXXON MOBILの世界最大規模のハロブチルゴム及び接着剤用特殊樹脂の生産プラントを完工するなど、安全・品質管理を含む高い技術力を顧客より評価されており、周辺国への事業拡大を目指している。



同子会社は、マレーシアの国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(以下、ペトロナス)が進める世界規模の石油精製・石油化学統合開発計画「RAPID計画」(Refinery and Petrochemical Integrated Development)のエチレン製造設備関連の受注に成功した。
受注に先立ち、マレーシアにUTOC PLANT CONSTRUCTION SDN. BHD.を設立して準備をした。
同子会社が担当するのは、分解炉6炉の据付工事及び配管据付・配管ラック設置工事になる。
同計画は、マレーシア政府が2010年に策定した「経済変革プログラム」に基づき、ペトロナスがジョホール州南部に計画している石油ガス統合コンプレックスプロジェクトの中心となる。
同社グループがこれまでシンガポールで培った多くの施工経験・知見を、マレーシアのプロジェクトに生かす。
同案件は、2017年度から営業収入に上がってきた。


3. セグメント事業別の動向
港湾事業は、リーマンショック直後と急激な円高の進行により2010年3月期と2011年3月期にセグメント利益が大幅に減少した。
しかし、国際コンテナターミナルとの合併後は、安定した収益を上げている。
2012年3月期から2015年3月期まで、セグメント利益は20億円前後で推移し、営業収入経常利益率も10%程度の高水準を保った。
2016年3月期は、商船三井が属するアライアンス「G6」の京浜地区の寄港数が減少したことが収益を低下させた。
2017年3月期は、北米航路の寄港数回復や取扱量の増加により収益性も回復している。


プラント・物流事業は、国内外の大型案件の有無や公共投資及び民間設備投資の影響を受ける。
2015年3月期は、京浜港の取扱貨物量が堅調に推移した上、保有特殊機材を使用した案件を多く受注したことが、大幅増益に結びついた。
また、シンガポールでも既存工事の追加受注があり、安定した工事量を確保した。
同期のセグメント利益は、好材料が重なったことで前期比4.2倍、営業収入経常利益率は11.4%とかつてない高水準に上昇した。


2016年3月期以降、プラント事業は国内の民間設備投資市場において競争が厳しく、電力関連の需要も低調だ。
海外では、2016年3月期にタイのプロジェクトに追加工事などが発生し、採算を悪化させた。
物流事業は、2017年3月期から新たに加わった内陸型物流センターが、従来の湾岸型と取扱品目が異なり、需要の季節変動やオペレーションに慣れるまで、収益的に足を引っ張っている。
また、JEXから譲受した事業は、2017年4月から一体運営を開始したものの、全体最適まで時間を要する。
2018年3月期第2四半期のプラント・物流事業の利益率は、新たに加わった業務が改善途中にあるなか、貸倒引当金の設定があり、通常レベルよりも低水準に落ち込んだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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