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飯野海運 Research Memo(1):海運業と不動産業の両輪で永続的な安定成長を目指す

発行済 2018-07-17 17:11
更新済 2018-07-17 17:20
飯野海運 Research Memo(1):海運業と不動産業の両輪で永続的な安定成長を目指す
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■要約

1. 約120年の歴史を誇る海運会社で現在は海運業と不動産業が両輪
飯野海運 (T:9119)は、1899年の創業(飯野商会、京都府舞鶴市)以来約120年の歴史を誇る海運会社である。
現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪として事業展開し、永続的な安定成長を目指している。
なお2019年7月に創立120周年を迎える。


セグメント区分は外航海運業、内航・近海海運業、不動産業の3セグメントとしている。
海運業(外航海運業、内航・近海海運業)の収益は、為替、海運市況、燃料油価格などの影響を受けて変動しやすいが、業界最大級の船隊規模を誇り数量輸送契約が中心のケミカルタンカー、中長期契約が中心のオイルタンカーやガスキャリアなどを組み合わせることにより収益の最大化を図っている。
不動産業は2018年3月期の売上高と営業利益が、再開発事業参画に伴う所有ビル解体などの影響で一時的に減少したが、安定収益源であることに変化はない。


2. 2018年3月期は営業・経常減益、最終増益、売上高・利益とも計画超
2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.4%減の81,334百万円、営業利益が同14.3%減の5,651百万円、経常利益が同9.3%減の4,631百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.2%増の4,243百万円だった。
内航・近海海運業が定期用船契約の有利更改や想定以上の市況回復などで大幅増益だったが、外航海運業では主力のケミカルタンカーの市況軟化等の影響を受けて減益、不動産業が笹塚センタービル売却及び再開発事業に伴う東京桜田ビル解体の影響で減益となり、全体として減益だった。
ただし期初計画に対しては売上高・利益とも上回った。


2019年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.3%増の84,000百万円、営業利益が同9.7%増の6,200百万円、経常利益が同8.0%増の5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同55.5%増の6,600百万円としている。
ケミカルタンカー運航隻数の増加に加えて、ケミカルタンカー、ドライバルクキャリア、小型ガスキャリアの市況改善効果を見込み、増収増益予想である。
なお特別利益で老朽化した船舶の売却益の計上(上期に計上予定)を見込んでいるため、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅増益予想である。


3. 中期経営計画の目標値は2020年3月期純利益74億円
創立125周年(2024年)に向けた中期経営計画の目標値には、最終年度である2020年3月期の営業利益90億円、経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益74億円、純資産825億円、ROE約9%などを掲げている。
海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく、重点強化策を「更なる差別化の追求」「安定収益の磐石化」「次世代ビジネスへの挑戦」としている。
中期経営計画の進捗状況はおおむね順調であり、中期的に収益拡大が期待される。
なお創立125周年となる2024年の「ありたき姿」として純資産1,000億円超を目指している。


4. 利益配分は8円~12円の安定配当を目指す
利益配分に関しては、海運業の業績が市況と為替の動向に左右されるため、財務体質の強化と必要な内部留保の充実、及び今後の経営環境の見通しに十分配慮して配当を継続することを基本方針としている。
2018年3月期の1株当たり配当は前期と同額の年間10円(中間配当5円、期末配当5円)とした。
2019年3月期の配当予想も同額の年間10円(中間配当5円、期末配当5円)としている。
中期経営計画では株主還元として年間8円~12円の安定配当を目指すとしている。


■Key Points
・海運業と不動産業の両輪で永続的な安定成長を目指す
・海運業は業界最大級船隊を誇るケミカルタンカー、中長期契約が中心のオイルタンカーやガスキャリアが主力
・不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部一等地でのオフィスビル賃貸が中心

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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