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飯野海運 Research Memo(7):バランス経営の推進と先進性への挑戦

発行済 2018-07-17 17:17
更新済 2018-07-17 17:20
飯野海運 Research Memo(7):バランス経営の推進と先進性への挑戦
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■飯野海運 (T:9119)の中長期成長戦略

1. 中期経営計画「Be Unique and Innovative.-創立125周年(2024年)に向けて-」
創立125周年(2024年)に向けて、2017年4月−2020年3月の中期経営計画を策定(2017年4月)している。
海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく、テーマを「バランス経営の推進と先進性への挑戦」(海運業と不動産業の両輪バランス、安定収益と次世代ビジネス、バランスの良い成長目標数値)として、重点強化策には「更なる差別化の追求」「安定収益の磐石化」「次世代ビジネスへの挑戦」を掲げている。


「更なる差別化の追求」に向けては、海運業では多様化するニーズへの対応や世界展開の加速、不動産業ではターゲットエリア戦略の深化を推進する。
そして海運市況の不確実性に対処するため、「安定収益の磐石化」として、不動産業では既存ビルの安定稼働やターゲットエリア内への資産集約、海運業では中・長期契約による収益の安定化を推進する。
また「次世代ビジネスへの挑戦」では、新エネルギー関連ビジネスの研究、有望なニッチ市場への進出、次世代オフィスビルの研究も推進する。


具体的な取り組みとしては、ケミカルタンカー事業では米州への定期配船によるシェール由来カーゴの取込み、世界同一品質のサービス提供、中東における市場シェアの維持・拡大、継続的な船隊整備を行う。
オイルタンカー及びガスキャリア事業では外航・内航LNGなど新規契約の獲得、シェール革命による物流変化への対応、多様なガスカーゴ輸送への対応、高品質船舶管理継続と優位性確保に注力する。
ドライバルクキャリア事業では中・短期用船を活用した最適船隊の構築、電力炭・木材チップ等の専用船による安定収益の積上げ、中東関連カーゴの拡充、配船航路の多様化を図る。
そして不動産業事業では長期的視野に基づいたターゲットエリア戦略への継続取組み、高品質ビル管理の提供、リーシング体制の強化、新橋田村町地区市街地再開発事業のコスト管理徹底を推進する方針だ。


2. 目標値は2020年3月期純利益74億円
中期経営計画の目標値には、最終年度である2020年3月期の営業利益90億円、経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益74億円、純資産825億円、ROE約9%などを掲げている。
海運業の前提は為替が1米ドル=110円、燃料油価格が370米ドル/MTである。


収益性(営業利益の拡大、事業活動キャッシュ利益の拡大、持続的な成長)、効率性(保有資産の効率性、資産調達方法の多様化、資産の入替え)、健全性(自己資本の積上げ、投資バランスの重視)のバランスを取りながら成長を目指す。
なお創立125周年となる2024年の「ありたき姿」としては、純資産1,000億円超を目指している。


3. 目標数値に対する進捗状況はおおむね順調
中期経営計画の初年度である2018年3月期の連結業績は、2017年3月期との比較で減収、営業減益、経常減益だったが、売上高813億円、営業利益56億円、経常利益46億円、親会社株主に帰属する当期純利益42億円で、いずれも中期経営計画の目標値(売上高800億円、営業利益50億円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益37億円)を上回った。
ケミカルタンカーの市況が想定を下回ったが、燃料油価格(通期平均)が想定を下回り、ドライバルクキャリア・ケミカル・近海部門の市況が想定以上に回復したこと、船舶の修繕費が想定を下回ったこと、コスト構造改革の効果が発現したことなども寄与した。


中期経営計画の2期目となる2019年3月期の連結業績予想は、売上高840億円、営業利益62億円、経常利益50億円、親会社株主に帰属する当期純利益66億円で、中期経営計画の目標値(売上高840億円、営業利益70億円、経常利益61億円、親会社株主に帰属する当期純利益58億円)に対して、営業利益と経常利益が届かない形だ。
ケミカルタンカーの市況回復遅れ、大型ガスキャリアの市況低迷、さらに燃料油価格の想定以上の上昇、不動産業における営繕費の増加が主因だが、ドライバルクキャリアやケミカルタンカーの市況回復を保守的に見込んでいることや、燃料油価格上昇分の価格転嫁などで上振れ余地があることを考慮すれば、進捗状況としてはおおむね順調と言えるだろう。


4. 重点強化策に対する進捗状況も順調
中期経営計画で掲げた重点強化策(更なる差別化の追求、安定収益の磐石化、次世代ビジネスへの挑戦)に対する進捗状況も順調のようだ。


「更なる差別化の追求」に関しては、海運業のケミカルタンカーで新規定期用船契約2件、新規COA 3件を獲得した。
2017年10月には、トリニダード・トバゴの世界有数のメタノール製造会社であるMethanol Holdings(Trinidad)Ltd.と、メタノール船定期用船契約を締結している。
内航・近海では国内の大手化学品メーカー向け内航LPGキャリア1隻を新造整備した。
不動産業では新橋田村町地区市街地再開発事業が本格始動した。
2021年3月に建物竣工予定である。


「安定収益の磐石化」に関しては、海運業のオイルタンカーで石油会社向けに新造VLCCを整備した。
内航・近海では定期貸船契約4件を有利更改し、石油化学メーカー向けに新造船1隻を整備した。
ドライバルクキャリアでは東北電力との専航船契約を含めて、中長期契約を3件獲得した。


「次世代ビジネスへの挑戦」に関しては、世界最大のメタノール生産者Methanex Corp.の100%出資海運会社であるWaterfront Shipping Company Ltd.向け新造メタノール船定期用船契約で、同社初の2元燃料(重油+メタノール)主機関搭載船を建造(2020年3月期竣工予定)する。
また既存内航LNG船について、LNG燃料船・LNGバンカリング船の需要調査を開始した。


5. 3年間合計の成長投資は380億円
中期経営計画では、3年間合計の成長投資を380億円としている。
内訳は船舶への投資が280億円、ビルへの投資が90億円、その他(環境、システムなど)への投資が10億円としている。


2018年3月期には、船舶への投資59億円、ビルへの投資51億円(NS虎ノ門ビルの一部持分取得)、その他への投資0.4億円を実行した。


なお2018年2月1日に、東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって5,160,000株を自己株式として取得した。
取得価額は約32億円である。


6. 海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく中期的に収益拡大期待
海運業と不動産業を両輪として永続的な安定成長を目指すシナリオに方針変更はない。
海運業ではケミカルタンカーのシェア拡大を目指し、2019年3月期以降は世界経済の拡大に加えて、米州発のシェール由来カーゴの本格化による市況への好影響も期待されている。
また米中貿易摩擦の激化の影響が懸念されているが、同社の主力は中東発のケミカルタンカーのため、直接的な影響は小さいと考えられる。
不動産業ではエリアターゲット戦略を加速する。
中期的に収益拡大が期待される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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