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ラクオリア創薬 Research Memo(10):胃不全麻痺等を適応症とする5-HT4部分作動薬もJVを通じ導出目指す

発行済 2018-08-31 19:02
更新済 2018-08-31 19:20
ラクオリア創薬 Research Memo(10):胃不全麻痺等を適応症とする5-HT4部分作動薬もJVを通じ導出目指す
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■ラクオリア創薬 (T:4579)の導出候補プログラムの進捗状況

3. 5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)
5-HT4部分作動薬(RQ-10)は胃不全麻痺、機能性胃腸症、慢性便秘などを適応症とする化合物である。
セロトニン受容体の1つである5-HT4を標的とする化合物で、同じ薬理作用を持つ薬剤にモサプリド(大日本住友製薬 (T:4506)が『ガスモチン®』の商標で販売済み)がある。


P-CAB同様、韓国・台湾・中国・インド及び東アジア市場を対象に、韓国のCJヘルスケアに導出されていたが2017年12月に契約を解消し、その後、RQ-941とともにZTE Biotechとの合弁企業に移管されることが決定され、現在に至っている。


RQ-10については、同社が2013年5月に英国でP-I臨床試験を終了しており、そこではRQ-10 の非常に強い薬効と高い安全性が示された。
また、2014年5月からは米国ヴァージニア・コモンウエルス大学(VCU)においてパーキンソン病患者を対象とした医師主導治験が行われている。
この治験には2016年4月にマイケル・J・フォックス財団パーキンソン病研究機関から3年間で総額86万8,000米ドルの研究助成金が授与されることが決定し、2016年8月からはパーキンソン病患者への投薬が開始され、単回投与の成果を受けて反復投与が開始されるなど、順調に進んでいる。
今後は、RQ-941同様、ZTE Biotechとの合弁企業での開発の進展が注目される。



TRPM8遮断薬は冷アロディニア(神経障害性疼痛の一種)を適応症として導出を目指す
4. TRPM8遮断薬(RQ-00434739)
皮膚の末梢感覚神経にある温度受容体としては6つのTRPチャネルが知られている。
TRPM8は別名メンソール受容体とも言われ、冷刺激受容体としての役割を担っている。
このTRPM8は、抗がん剤による末梢神経障害等によって引き起こされる冷アロディニア(通常では疼痛をもたらさない微小刺激が疼痛として認識される感覚異常。
この場合は通常の冷感、例えば金属製ドアノブや冷水を入れたコップとの接触が激しい痛みとして認識される状況)に関与しており、TRPM8遮断薬(RQ-00434739)は刺激の神経伝達を遮断し、痛みを抑える効果が期待されている。


TRPM8遮断薬(RQ-00434739)は同社のイオンチャネル創薬プロジェクトの成果の1つであり、特にプラチナ系抗がん剤におけるがん化学療法に伴う冷アロディニアを中心に適応症が検討されている。
現在、抗がん剤使用に伴う冷アロディニアの副作用に対する予防法や治療法は確立されておらず、この副作用を理由とする抗がん剤使用の中止や患者さんの生活の質の低下を防ぐことができる新たな治療薬の開発が切望されている。
また、同社は東京大学大学院と共同研究を進めていく中で、TRPM8遮断薬が新規泌尿器疾患治療薬となる可能性も見い出している。
開発段階としては2016年8月に前臨床開発段階に移行しており、現在はライセンス活動を展開している状況にある。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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