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1. グループ資産の有効活用
USEN-NEXT HOLDINGS (T:9418)の統合の目的でもあるクロスセルを図示すると以下のようになる。
音楽配信事業で培われた強固な顧客基盤に対し、グループ各社の有する直販やテレマ、代理店といった営業資産を有効活用し、音楽・映像コンテンツに加え電力やタブレットPOSレジ・キャッシュレス決済端末及び店舗向け損害保険など、顧客の抱くニーズやウォンツに対して最適なソリューションサービスを提供するのだが、事業基盤である顧客もグループ各社の資産である商材も、依然伸びしろのある状況と言える。
経営統合直後にもかかわらず、積極経営を推進
2. 2018年8月期の業績動向
2018年8月期の業績は、売上高107,932百万円、営業利益6,006百万円、経常利益5,012百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,169百万円となった。
8ヶ月決算のため前期比較はできないが、期初計画比では、売上高はほぼ計画どおりだったが、営業利益以下それぞれ506百万円、512百万円、1,469百万円の超過達成となった。
既存事業の強化を図るとともに、高成長事業と位置付けるエネルギー事業への取り組みの強化や、店舗向けIoT商材・サービスを始めとするラインナップの充実に積極的に取り組んだことが奏功したと思われる。
具体的には、電力小売りや店舗のリスクをまとめて補償する損害保険の取扱いを開始、中国大手アクワイアラー・プラットフォーマーの(株)ラカラジャパンと業務提携し、「Alipay(アリペイ)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」といった中国の主要電子決済サービスの取扱いを始める予定となっている。
また、(株)リクルートとの業務提携では、飲食店を中心とした業務店の労働生産性向上やIT化促進を目的に、相互の業務支援ビジネスの連携や取り組み強化を推進することになった。
これらにより、開業準備から開業、繁盛店作りという店舗の抱えるすべての課題を解決するワンストップソリューションの提供が可能になると考える。
統合効果を最大限発揮するため2019年8月期はいったん先行費用
3. 2019年8月期の業績見通し
2019年8月期業績見通しについて、同社は売上高170,000百万円、営業利益8,000百万円、経常利益6,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円を見込んでいる。
2018年8月期が8ヶ月決算だったため前期比はないが、営業利益率に関しては、平均的と考えられる5%台前半に対して4.7%と低くなっている。
同社は、グループの有する顧客基盤や各種商材といった経営資産を最大限活用するため、直販体制を維持しつつ、今期よりテレマーケティングやWebマーケティング、代理店網といった販売チャネルなど営業体制の強化を推進している。
また、急速に変化するテクノロジーや社会環境に対し、IoTやAIといったIT技術など新たなテクノロジーを活用して、市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉えることを目指している。
このため2019年8月期は、中期成長に備えた販売チャネルの拡大やビジネスモデルの転換を進めており、先行的に費用が膨らむ計画になっている。
従って、2019年8月期に見込まれる営業利益率は前年度プロフォルマに対して減少するものの、来期以降改善していくものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)