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カルナバイオ Research Memo(1):ブロックバスター候補2品目が2020年にかけ臨床試験開始目指す

発行済 2019-03-08 15:21
更新済 2019-03-08 15:41
© Reuters.  カルナバイオ Research Memo(1):ブロックバスター候補2品目が2020年にかけ臨床試験開始目指す
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■要約カルナバイオサイエンス (T:4572)は、細胞内のシグナル伝達物質であるキナーゼの働きに着目した創薬及び創薬支援事業を行うバイオベンチャーである。

創薬事業では主にがん領域や免疫炎症疾患などアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患を対象としたキナーゼ阻害薬の研究開発を行っている。

2016年5月に、抗がん剤治療薬候補となるCDC7キナーゼ阻害薬を、北米のバイオベンチャーであるSierra Oncology, Inc.(旧ProNAi Therapeutics,Inc.以下、シエラ)へ導出、グローバルライセンス契約を締結している。

1. 開発パイプラインの動向同社の主要開発パイプラインであるBTK阻害薬2品目について、2019年中から2020年にかけて臨床第1相試験を開始することを目標として前臨床試験が進められている。

リウマチ等の免疫炎症疾患を対象に開発を進めている「AS-0871」について、会社は2019年中に欧州でCTA申請(治験計画届)を行い、年内にも臨床第1相試験を開始することを目標としている。

リウマチ治療薬は抗体医薬でアダリムマブがあるほか、低分子化合物でもトファシチニブ(JAK阻害薬)が販売されており、2017年の市場規模は6兆円規模※と大きい。

このため開発競争も激しいが、「AS-0871」はキナーゼ選択性が高く、副作用リスクが小さいといった長所があり、臨床試験で良い結果が得られれば導出の可能性が高まる。

※出所:Evaluate Ltd.「EvaluatePharma®ワールドプレビュー2018 2024年への展望」。

また、血液がんを対象に開発を進めている「AS-1763」は、2019年中に米国でIND申請(治験計画届)を行い、2020年に臨床試験の開始を目指している。

「AS-1763」の特長は、高いキナーゼ選択性を持ち副作用リスクが低いことに加えて、BTK阻害薬の先発品であるイブルチニブに耐性が生じた患者に対しても効果が期待できる点にある。

安全性・有効性で優れた結果を示せれば、ブレイクスルー・セラピー※に指定される可能性があり、導出の可能性も一段と高まるものと予想される。

イブルチニブはピーク時の売上高で8千億円が見込まれる大型治療薬であり、「AS-1763」の開発に成功すれば同社も同程度の成長ポテンシャルが期待できることになる。

※ブレイクスルー・セラピーとは生命にかかわる疾患に関する薬剤の開発及び審査の促進を目的とした米国FDAの制度。

FDAから指定を受けると、優先審査により承認までの大幅な期間短縮が可能となり、場合によっては臨床第2相試験を終えた段階でも販売承認申請が可能となる。

ブレイクスルー・セラピーの指定には、臨床的に重要な評価項目において、既存の治療法と比較して顕著な改善を示す予備的臨床エビデンスが必要となる。

2. 2018年12月期の業績概要2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比14.8%増の754百万円、営業損失が1,144百万円(前期は699百万円の損失)となった。

創薬事業において大日本住友製薬 (T:4506)と精神神経疾患を対象としたキナーゼ阻害薬の共同研究並びに開発及び事業化に関する契約を締結し、契約一時金として50百万円を計上した。

また、創薬支援事業では海外向けが過去最高売上を更新するなど好調に推移した。

一方、費用面では研究開発費が前期比469百万円増加し、営業損失の拡大要因となった。

3. 2019年12月期の業績見通し2019年12月期はシエラからのマイルストーン収入4百万米ドルが見込めることや、創薬支援事業の拡大が続くことから売上高は前期比64.3%増の1,240百万円となる見通し。

ただ、BTK阻害薬の臨床開発に向けた費用を中心に研究開発費が増加することで、営業損失は1,658百万円と前期からさらに拡大する見込みとなっている。

なお、2018年12月期末の現金及び預金は1,355百万円で、一部新株予約権の未行使分が残っているものの、今後も開発ステージが続くことから、新たな資金調達が必要になってくると思われる。

■Key Points・キナーゼの働きに着目した創薬事業と創薬支援事業を手掛ける・リウマチや血液がんを対象疾患としたBTK阻害薬の開発が進む・2019年12月期はシエラからのマイルストーン収入を見込むほか、米国での臨床試験開始に向けた体制構築を進める(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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