■M&A戦略と事業の再編1. 経営方針と経営ステージアエリア (T:3758)は創業以来、「ネットワーク社会における、空気のように必要不可欠な存在に。
」という企業理念を掲げ、「成長の早い領域へ積極的な事業展開」を行うことで、世の中で必要不可欠な存在であり続けることを追求してきた。
そして、ブロックチェーンやAI、VR/ARなど新たな技術によるネットワーク社会の発展と、成長する訪日外国人旅行客向け宿泊需要という新規領域を両にらみしながら、中長期的に事業を展開していく方針である。
そのための、安定収益を生み出す事業資産の獲得→成長マーケットへの積極投資→成長マーケットにおける基盤強化という同社のビジネスサイクルにおいて、各事業におけるM&Aなど成長マーケットへの積極投資は必要不可欠と言える。
しかし現在、同社は成長マーケットにおける基盤強化のステージに入ったと考えられる。
M&Aの目的は人材の獲得とシナジー2. M&Aの戦略目的とM&Aの加速M&Aの戦略目的は、経営人材・チームの獲得と彼らのモチベ—ション向上及び、シナジーを創出できる事業資産の獲得の2つである。
特に後者によって、各事業のリスク分散を図りつつ強固な収益基盤の構築と規模の拡大を目指す一方、新たな成長マーケットへの進出を目指してきた。
そのようななかで、特にリスクテイクしたと思われるのが、安定収益を考えてファーストペンギン、スマートフォンゲームという成長マーケットに向けてリベル・エンタテインメントとアスガルド、(株)GESI——という2015年の4社のM&Aである。
ただし、翌2016年12月期は、アスガルドとGESIが当初想定していた収益に至らず、リベル・エンタテインメントは新規タイトルの開発費や広告費など支出が重なり、またそうした苦戦によるのれん償却や減損損失の計上もあって、1,605百万円の営業赤字となった(ただしEBITDAは501百万円の黒字)。
しかし、2017年1月にリベル・エンタテインメントがリリースした「A3!」が大ヒット、2017年12月期の営業利益は2,691百万円と大きく黒字転換した。
これを弾みにさらにM&Aが加速することになり、2017年12月期に9社、2018年12月期は2社をM&Aすることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)