■事業概要1.事業内容Kudan (T:4425)はAPの基幹技術であるSLAM※1、ALAM※2、VIO※3、SfM※4、その他関連アルゴリズム※5をハードウェアに組み込むための「KudanSLAM」をIPライセンス化し、顧客に提供している。
なお、2018年3月期まで「KudanSLAM」の前身技術としてARエンジン「Kudan AR SDK」をモバイルアプリ開発企業などにライセンス提供していたが、DeepTech技術への進化と非AR領域への拡大を目的として、「KudanSLAM」を中心とする事業に完全に移行した。
このため、主力顧客も2017年3月期にソーシャルVR のMindMazeやソーシャルアプリ・ゲームのenish (T:3667)から、2018年3月期には複合現実ウェアラブルコンピュータを開発するユニコーンのMagic LeapやLINE (T:3938)系のLine Plus、2019年3月期第2四半期にはカメラや画像処理エンジンのOEM企業ザクティ、日本アジアグループ (T:3751)傘下で地理空間情報技術の国際航業、一眼レフカメラの世界的メーカであるニコン (T:7731)へと急変している。
このように、モバイルアプリ企業から非モバイルアプリ企業への主力顧客の入れ替わりから、より広くより深く産業の中に入りつつ、AR以外の応用領域にも拡大しているのが見て取れる。
また、後述するが、グローバルでも非常に限られたAP技術の提供会社であるあることに加えて、「KudanSLAM」の技術優位性から、既に世界の先端テクノロジー企業の大半が同社を認識しており、要素技術として「KudanSLAM」の取り入れが加速している。
※1 SLAM:「Simultaneous Localization and Mapping」の略称であり、コンピュータが現実環境における自己位置推定と3次元立体地図作成を同時に行う技術を指す。
なお、「Visual SLAM」とは、この自己位置推定と地図作成のための入力情報としてカメラ画像情報を用いるものを指し、「RGB-D SLAM」とは、入力情報にカメラ画像情報と3次元センサ情報の両方を用いるものを指す。
※2 ALAM:「Asynchronous Localization and Mapping」の略称であり、コンピュータが現実環境における自己位置推定と3次元立体地図作成を非同期的に行う技術を指す。
※3 VIOとは、「Visual Inertial Odometry」の略称であり、カメラ画像を利用して位置と姿勢を推定する技術を指す。
※4 SfM:「Structure from Motion」の略称であり、3次元構造を2次元のカメラ画像と動きから推定する技術を指す。
※5 アルゴリズム:特定の問題を解決するために考案された計算可能な数理モデルを指す。
多くの場合、コンピュータプログラムによって記述される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)