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GTS Research Memo(1):歯髄幹細胞を用いた再生医療分野の強化により、中長期的な成長ポテンシャルが高まる

発行済 2019-07-03 15:51
更新済 2019-07-03 16:01
© Reuters.  GTS Research Memo(1):歯髄幹細胞を用いた再生医療分野の強化により、中長期的な成長ポテンシャルが高まる

■要約ジーンテクノサイエンス (T:4584)は、北海道大学発の創薬ベンチャー。

バイオ医薬に特化し、バイオ後続品(以下、バイオシミラー)ではフィルグラスチム※BSが国内バイオシミラー・ガイドラインのもとで初めて厚生労働省より製造販売承認された実績を持つ。

2016年にノーリツ鋼機 (T:7744)のグループ会社となったものの、その後株式交換により、持ち分法適用会社へ移行した。

バイオシミラー事業、バイオ新薬事業に続く新規バイオ事業として(株)日本再生医療と資本業務契約を締結し、再生医療分野にも進出。

2019年4月には歯髄幹細胞を用いた再生医療等製品の開発を目指す(株)セルテクノロジーを子会社化した。

※顆粒球増殖因子製剤。

がん化学療法(抗がん剤投与)を行った後の好中球減少症の治療等に利用される。

先行品は協和キリン (T:4151)のグラン。

1. 歯髄幹細胞による再生医療分野の強化同社はバイオシミラー事業、バイオ新薬事業に続く第3の事業として新規バイオ事業を展開しており、当該事業の基幹となる再生医療分野において、従来から日本再生医療と進めている心臓内幹細胞に加え、今後、歯髄幹細胞を用いた再生医療等製品の開発を子会社のセルテクノロジーとともに推進していく方針だ。

歯髄幹細胞はその他の間葉系幹細胞と比べ、骨、軟骨及び神経細胞に分化しやすいほか、増殖能力が極めて高いこと、乳歯等の脱落歯から細胞を採取できるためドナー負担が少ないことなどが特徴となっている。

対象疾患は、顎骨再生分野や脊髄損傷、脳性まひ等の中枢神経系分野等を想定している。

第1弾として、2019年5月に人工骨充填材を開発販売するORTHOREBIRTH(株)と共同研究開発契約を締結し、口唇口蓋裂※1治療法として開発を進めていくことを発表した。

また、セルテクノロジーは複数の大手製薬企業とも再生医療の実用化に向けた共同研究を進めている。

現在、業務提携先の(株)ニコン・セル・イノベーションで臨床用マスターセルバンク(以下、MCB)※2の構築を行っている段階で、MCBの完成により臨床グレードでの細胞提供の環境が整備されることになる。

2021年3月期から2022年3月期にかけて提携先も含めて複数の開発パイプラインが進展するものと予想される。

※1 口唇口蓋裂:口腔の先天的な発生異常によって生じる疾患で、発生時に口蓋の片側が閉鎖しないことで裂が残る先天性疾患の一つ。

※2 すべての再生医療等製品製造用細胞の元になる種細胞を一定の培養条件下で最低限の継代数を経て増殖させ、複数のアンプルに分譲したもの。

2. 開発パイプラインの進捗状況開発パイプラインの進捗について見ると、千寿製薬(株)と共同開発中の眼疾患領域のバイオシミラーであるラニビズマブ※3 BS(加齢黄斑変性治療薬)は、2019年2月に第3相臨床試験の最終患者登録が完了しており(観察期間1年)、結果が良好であれば2020年中頃にも製造販売承認申請できる見通し。

また、海外での導出にも取り組んでいく。

ダルベポエチンアルファ※4 BS(腎性貧血治療薬)は、共同開発先である(株)三和化学研究所が2018年9月に製造販売承認申請を行っており、2020年3月期中にも販売承認を取得できる見通しだ。

同社は上市後に販売高に応じたロイヤリティ収入を得られることになる。

そのほか、バイオ新薬では眼疾患、がん領域の医薬品候補として「GND-004」の開発を進めており、2020年3月期中に動物実験のデータを収集、2021年3月期以降の導出を目指している。

※3 眼科用の血管内皮増殖因子阻害剤。

加齢黄斑変性とは、網膜の中心である黄斑部に血管新生が起こり、出血やむくみなどにより視力が低下する(加齢黄斑変性)疾患など、血管新生のために発症する疾患を改善する目的で使用されている。

先行品はノバルティスファーマのルセンティス。

※4 持続型赤血球造血刺激因子製剤。

保存期慢性腎臓病から透析期までの腎性貧血患者に対して、腎性貧血の症状を改善する目的で使用されている。

先行品は協和キリンのネスプ。

3. 業績見通しセルテクノロジーの子会社化により、2020年3月期より連結業績での開示となる。

前期の単独業績との比較では、売上高で2.8%増の1,050百万円、営業損失で1,220百万円(前期は805百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で7,260百万円となる見通し。

売上高は既存事業で前期並みの水準を維持し、セルテクノロジーの売上分が増収要因となる。

研究開発費の増加を主因に営業損失が拡大するほか、セルテクノロジーののれん約60億円を一括償却する予定のため最終損失が大幅に拡大することになるが、キャッシュアウトを伴わない損失となるため、財務的な影響はない。

2021年3月期以降は、バイオシミラーの研究開発費がピークアウトするため営業損失額は縮小する見込みで、GBS-007 ラニビズマブBSの上市が見込まれる2022年3月期以降は売上規模も拡大局面に入る見通しだ。

これに加えて、再生医療事業やバイオ新薬事業での導出等による収益化を実現することで、22年3月期以降の早期黒字化を達成していく考えだ。

再生医療事業に関しての収益化はまだ数年先となるが、同分野への進出により中長期的な成長ポテンシャルは高まったと言える。

■Key Points・歯髄幹細胞等を使った再生医療事業を第3の柱に育成する方針・バイオシミラーは2020年3月期以降、2品目の上市が視野に入る・研究開発費のピークアウトで2021年3月期以降損失額が縮小、22年3月期以降の早期黒字化を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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