■第8次中期経営計画1. 基本戦略ハピネット (T:7552)は、2019年3月期を初年度、2021年3月期を最終年度とする第8次中期経営計画を発表したが、その基本方針として「Shinka2020:ビジネススタイルのShinka(進化・深化・真価)による企業価値の向上」を掲げている。
また以下の3つを基本戦略としている。
基本戦略1:流通事業をShinkaさせ、更なる成長を図る基本戦略2:ビジネスネットワークを創出し、メーカー事業を強化する基本戦略3:新規事業に積極的に挑戦する2. 基本戦略1及び基本戦略2の推進基本戦略1及び2を推進するため、各事業セグメントでは、以下のような施策を実行していく。
(1) 玩具事業基本方針として「取引先との戦略的パートナーシップを深化させ、流通シェアを拡大する」を掲げ、以下の施策を実行する。
a) バンダイグループをはじめとした各メーカーとの取組みを強化「営業機能強化」「メーカーとの連携強化」「最適売場や販促企画の立案実行強化」「新規販売チャネルの開拓」「独占流通商材の取扱い拡大」「コンビニエンスストア流通の販売拡大」などを推進する。
b) オリジナル商品の拡充新機能を生かした新商品開発を推進する。
(2) 映像音楽事業基本方針として「流通ビジネスモデルの革新、メーカー事業強化、事業領域拡大への挑戦により、映像音楽事業の進化を図る」を掲げ、以下の施策を実行する。
a) 中間流通市場シェアの拡大同社の調べによれば、国内映像音楽(パッケージ)中間流通市場でのシェアは、星光堂が約17%でトップ、同社が約11%で第2位、その他が13%、残りの59%がメーカー直取引となっていた。
したがって、2018年3月の星光堂の映像音楽卸部門の譲受により同社のシェアは約28%とトップとなるため、今後はこの統合による効率化とシナジー効果による利益率の向上を図るとともに、依然として59%を占めるメーカー直取引においても、メーカーとの取組みを強化して更なるシェアの拡大を図る。
b) アニメ・邦画を中心にメーカー事業を強化引続きアニメ・邦画作品の製作に注力する。
c) ライブ・イベントなどの周辺事業に参入する(3) ビデオゲーム事業基本方針として「収益モデルの転換を図るため、外部パートナーとの連携を強化し、ビジネスモデルを深化させる」を掲げ、以下の施策を実行する。
a) 「Nintendo Switch」の販売最大化引続きハードの販売を強化すると同時に、今後発売されると思われるソフトの販売にも備え、同商品関連の販売を最大化させる。
b) 独占流通商品の拡大今後も独占流通商品の拡大に注力する。
c) ゲーム周辺ビジネスの拡大「Nintendo Switch」アクセサリー、「スマートフォン用VRゴーグル」など、ゲーム周辺市場の拡大にも注力する。
d) メーカー事業の強化及びアライアンスの強化世界に向けて発信していく同社の新しいゲームブランドとして「Asakusa Studios」を立ち上げたが、今後も引続きメーカー事業やアライアンスを強化していく。
(4) アミューズメント事業基本方針として「『新たな需要の創出』と『オペレーションスタイルの進化』で、事業基盤を強化・拡充する」を掲げ、以下の施策を実行する。
a) ロケーションと商品の企画・開発によるユーザー層の拡大開拓した交通系ロケーションでの常設化を図ると同時に、新たな業種・業態への設置先を拡大する。
同時に商品開発を強化し、イベントも実施していく。
b) オペレーション改革の継続による営業効率の向上ITをフルに活用して、ロケーション特性に合わせた商品投入、補充のための巡回業務の効率化、遠隔での在庫データ取得、設置店舗/エリアごとの売上分析などを積極的に進める。
3. 基本戦略3:新規事業に積極的に挑戦する現在、新規事業としての具体的な案件はないが、今後はエンタテイメントを軸としながら既存事業領域にとらわれない様々なマーケットニーズに応える新規事業の研究・開発に挑戦していく方針だ。
新規事業のイメージは以下のとおり。
4. ステークホルダーとの関係今回の第8次中期経営計画では、ステークホルダーとともに更なる成長を目指すことも重要課題の1つに掲げている。
要約すると以下のようになる。
5. 定量的目標:2021年3月期に経常利益56億円(過去最高)を目指す今回の第8次中期経営計画の定量的目標としては、2021年3月期に売上高230,000百万円、営業利益5,800百万円、経常利益5,600百万円、経常利益率2.43%を目指している。
売上高については予想以上のヒット商品に恵まれたこと(特に映像・音楽部門)などから、既に目標値を上回ったが、経常利益については引き続き過去最高の5,600百万円を達成する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)