■業績動向3. 2019年8月期の業績見通し2019年8月期業績見通しについて、USEN-NEXT HOLDINGS (T:9418)は売上高170,000百万円、営業利益8,000百万円、経常利益6,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円を見込んでいる。
2018年8月期が8ヶ月決算だったため前期比はないが、第2四半期の利益進捗率が50%〜60%で、契約の積み上がりによる収益増を考えれば、見通しは十分射程圏と考えられる。
同社は、グループの有する顧客基盤や各種商材といった経営資産を最大限活用するため、直販体制を維持しつつ、今期よりテレマーケティングやWebマーケティング、代理店網といった販売チャネルを相互利用するなど営業体制の強化を推進している。
また、急速に変化するテクノロジーや社会環境に対し、IoTやAIといったIT技術など新たなテクノロジーを活用し、市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉えることを目指している。
このため2019年8月期は、中期成長に備えた販売チャネルの拡大やビジネスモデルの転換を進めており、先行的に費用が膨らむ計画になっている。
したがって、2019年8月期に見込まれる営業利益率は、平均的と考えられる5%台前半に対して4.7%とやや低くなったと考えられる。
中期高収益高成長を期待4. 中期成長イメージ中期経営計画「NEXT for 2024」が目標とする2022年8月期営業利益100億円、2024年8月期営業利益130億円は、十分達成する可能性のある目標と考えている。
目標を達成すれば、年平均利益成長率は高成長と言える2ケタが見込まれる。
ただし、営業利益率に関しては、のれん償却が毎期30億円程度ある上、2019年8月期のコスト先行やその後キャンシステムの構造改革、高成長だが低採算のエネルギー事業の拡大、通信事業のビジネス転換により、中期的に4%台の低水準で推移することが予想される。
特にエネルギー事業は電力の卸売のため粗利率が低く、全社の収益性の足を引っ張ることはもちろん資産回転率をも引き下げる予想になる。
しかし、エネルギー事業を除くと営業利益率は中期的に6%前後で推移することが見込まれ、また、稼ぐ力を象徴するのれん償却前営業利益率は、エネルギー事業を除くと8%前後の高い利益率が試算される。
以上から、「NEXT for 2024」において同社は、実質的に高収益かつ2ケタを超える高成長を目指しているということになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)