[サンフランシスコ 8日 ロイター] - 米テスラ (O:TSLA)製電気自動車(EV)の所有者が、車載ソフトの更新を巡り同社を提訴した。ソフト更新は電池の欠陥へのリコール(回収・無償修理)義務を回避する狙いがあったほか、旧型モデルの航続距離が縮まるという悪影響があったと主張している。
訴訟はカリフォルニア州北部地区連邦地裁に7日に提起された。原告はテスラが詐欺を働いたと主張しており、EVの「モデルS」や「モデルX」を所有するとみられる世界の「何千人もの」人々を代表する集団訴訟として認定するよう申し立てた。
訴状にはテスラが一部モデルの電池に欠陥があることを認識していたが、顧客に知らせることはせず、修理や交換の義務を果たさなくてもいいように電池の「安全性」と「寿命」延長のためと偽ってソフトを不正操作したと記されている。
テスラ製EVで最近起きた一連の発火事故にも触れ、テスラは顧客に発火リスクについて知らせる代わりに、法的責任を回避するために情報を隠し、ソフト更新で済ませることを決めたとしている。
車載ソフトの更新によって航続距離が縮む問題はテスラ車の所有者によるネット上のフォーラムで5月以降、大きな話題となっていた。
テスラは「旧型モデルSとモデルXの所有者のごく一部が、電池の寿命を延ばすためのソフト更新によって1回の最大充電の航続距離が少し縮まったと気付いた可能性がある」と説明。航続距離への影響を緩和するため、前週から無線でのソフト更新を提供しているとした。
同社は5月にモデルSが香港で発火したことを受け、無線でのソフト更新によってモデルSとモデルXの充電と温度管理の設定を見直したと明らかにしていた。これは「電池をさらに保護し、寿命を延ばす」狙いがあったとしている。6月には、一部所有者のクレームを受け、ソフト更新の悪影響を緩和する方針を示していた。