[クパチーノ(米カリフォルニア州) 10日 ロイター] - 米アップル (O:AAPL)は10日、カリフォルニア州クパチーノの本社で開いた新製品イベントで、新型の「iPhone11」シリーズ3種類を発表した。さらに、動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」を11月1日に開始すると発表。価格は月額4.99ドルと、競合他社を下回る水準に設定した。
主力機種のiPhone11は広角レンズを含む2つの背面カメラを搭載、価格は699ドルからとし、昨年発売した新型iPhoneの最低価格である749ドルから値下げした。
上位機種の「iPhone11Pro(プロ)」と「iPhone11Pro Max(プロマックス)」は3つの背面カメラを搭載し、超広角の撮影などが可能。価格はそれぞれ999ドル、1099ドルから。予約注文は13日開始。出荷は20日に始まる。
3つの背面カメラは革新的な機能だが、競合する韓国サムスン電子 (KS:005930)や中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]はすでに採用している。
新型iPhoneが旧機種から比較的小幅な進化にとどまったことで、アナリストの間からは、アップルが次世代通信規格「5G」対応機種の投入まで「現状維持」にとどまるとの指摘が聞かれた。
アップルの株主キャピタル・インベストメント・カウンセルの首席エコノミスト、ハル・エディンズ氏は、iPhone11の価格引下げはさほど魅力ではないとしつつも、「低料金の動画配信サービスによって、新規契約者の囲い込みが可能だ」との見方を示した。
<動画配信も低価格に設定>
アップルは、11月のアップルTV+開始によってネットフリックス (O:NFLX)が優位に立つ動画配信サービス市場に進出する。
11月12日に動画配信サービス配信を計画する米娯楽大手ウォルト・ディズニー (N:DIS)は月額6.99ドルで、アップルはこれを下回る料金に設定した。
100カ国以上でサービスを始め、iPhoneやタブレット端末「iPad」などのアップル製品を買ったユーザーは、1年間はサービスが無料となる。これにより、何億ものユーザーの囲い込みを狙う。
また、パソコンのマックなどへのゲーム配信サービス「アップル・アーケード」を9月19日から始めると発表。月額4.99ドルの課金で、1カ月間の無料トライアルを提供する。
アナリストの間では、音楽配信サービス「アップルミュージック」などを組み合わせたサービスの発表があるとの見方もあった。
クリエイティブ・ストラテジーズのアナリスト、ベン・バジャリン氏は、動画配信サービス、月額約5ドルのゲームサービス「アップル・アーケード」、一番シンプルなモデルiPhone11をみれば、アップルが長期的なユーザーを視野に入れていることがわかると指摘。「アップル・アーケードやアップルTVがこれほど強気の価格設定になるとは思わなかった」と述べ、「一度アップルのエコシステムに取り込めば消費者はそこから離れないということをアップルは十分認識している」と説明した。
アップルは、腕時計型端末「アップルウオッチ」のシリーズ5や新型iPadも発表。新型アップルウオッチのバッテリー駆動時間は18時間となる。価格は399ドルから(セルラーモデルは499ドルから)で、予約注文は10日から、店頭販売は20日始まる。新型iPadの価格は329ドルからで、予約注文は10日、店頭販売は30日に開始。
米株式市場で、アップル株は約1.2%高で取引を終えた。
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