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Pウォーター Research Memo(3):「顧客純増」の強みで「水源開拓」「物流効率化」「設備投資による原価低減」

発行済 2019-12-09 15:23
更新済 2019-12-09 15:41
© Reuters.  Pウォーター Research Memo(3):「顧客純増」の強みで「水源開拓」「物流効率化」「設備投資による原価低減」
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■会社概要3. 強みプレミアムウォーターホールディングス (T:2588)の強みの根源は、圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」である。

この強みがあることにより、水源分散化や物流効率化、無駄のない工場設備投資などが可能となり、好循環が生まれている。

(1) 圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」同社は宅配水市場の顧客数の増加の約半分を占めており、顧客獲得力がずば抜けている。

その特長は、旧エフエルシーがデモンストレーション販売では国内トップクラスの実力だったことに遡る。

顧客獲得方法は様々であるが、同社は大型商業施設や大手量販店、ホームセンターなどでのデモンストレーション販売で約6割の顧客を獲得している。

同社専用のブースを期間限定で出展し、同社の従業員が対応する。

また次に有力な販売手法はテレマーケティングであり、3割以上の顧客を獲得する。

具体的には不動産会社や家電量販店とコラボレーションし入居後や大型家電購入後、サンキューコールをする際に宅配水を推奨する。

営業ノウハウやその教育もさることながら、従業員の育成とモチベーションを考慮して作り込まれた人事評価制度があり、能力を引き出す仕組みが充実している。

(2) 水源の分散化、2018年度に2つの水源を開拓し5水源体制へ同社は水の安定供給及び地産地消を狙いとして水源を分散する方針を取っている。

これまで、富士吉田(山梨県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)の3ヶ所の水源(工場)から全国の消費者に配送していたが、2018年10月からは朝来(兵庫県)、2019年1月からは北アルプス(長野県)が稼働開始し、全国5ヶ所となった。

5つの自社専用の水源を持つことも業界では圧倒的と言えよう。

水源を増やすのは、顧客の増加に対応する安定供給能力の確保はもちろん、配送費の抑制の狙いもある。

一方で、水源開拓には難しさもある。

一定以上の顧客が確保できなければ、工場の稼働率は上がらず製造コストが高くなってしまう。

その点で同社は保有顧客を増加させることができるため、水源の開拓にも弾みが付いている。

5水源で最大175万ユーザーまで供給可能であり、中期計画で目指す2024年3月期の保有顧客件数目標141万件に対応できる体制が整っている。

同社は成分や安全性には独自の厳しい基準を設定している。

ミネラルバランス、硝酸・亜硝酸値、水量などの厳しい基準をクリアできる水源は多くはないのが実情である。

特に、硝酸及び亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。

2018年モンドセレクション金賞及び優秀味覚賞を受賞(6年連続)。

富士吉田工場が食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得している。

(3) 地産地消による物流の効率化宅配水業界にとって、近年の物流費の上昇は大きな経営課題である。

同社は1WAY方式の配送を行うため、大手の配送業者に配送を委託しており、売上収益に占める配送費の比率は24.6%(2019年3月期)に達する。

配送業者からは絶えず値上げプレッシャーがあり、今後も更なる物流費上昇のリスクがある。

同社が打ち出す1つの方向性が、「水源の分散による配送距離の短縮」である。

製造地と消費地が近ければ配送費も抑制できる。

5水源体制となっており、南阿蘇工場から九州地方、金城工場から中四国地方、朝来工場から近畿地方と北陸地方の一部、富士吉田工場から東海地方から東(北海道除く)、北アルプス工場から北海道地方へそれぞれ配送する体制が整った。

エリア内で、定期的にまとまった物量が確保できるため、トラックの積載効率も高くなり、物流費高騰を回避できる要因となっている。

(4) 無駄のない工場設備投資による原価低減同社は、製造原価の低減にも取り組んできた。

2016年からプリフォーム射出成型機を導入し、容器の内製化を行い、原価低減に成功している。

この設備投資は約4億円。

容器1本当たり20円削減を想定した投資だったが、大きな設備投資も商品の本数が少なければ、無駄な投資となってしまう。

同社では初年度に1000万本出荷し、約1.6億円の利益向上を達成した。

投資から3年目には投資回収し、利益を生み出し続けている。

このように、顧客純増による出荷規模拡大は様々な面で好循環を生んでいる。

「投資回収型ストックビジネスモデル」が特徴。

前期に損益分岐を超え、利益成長期に入る4. ビジネスモデル同社のビジネスモデルの特徴は、「投資回収型ストックビジネスモデル」である。

ウォーターサーバーの原価やデモ販売の人件費、催事場代、販売店への販売手数料などの費用は先行して発生し、これを会社側が最初に負担する。

1顧客を獲得するためのコストは36千円前後と試算できる(フィスコ試算)※。

この先行投資を、その後数年かけて天然水の売上で回収していく。

もちろん一定の解約が発生するため永遠には続かないが、解約率1.5%と仮定すると、60か月目で40.4%(フィスコ試算)が継続する。

定期配送契約を結ぶため、ストック利益(毎月の水代などから得られる収入から顧客維持コストや提供サービスの原価などを除いた利益分のこと)は安定して獲得できる。

つまり単純化すれば、3万円の先行投資をして、毎月少しずつ投資分を回収し投資回収が終われば利益のみとなる。

新規顧客を一気に増やす時期は赤字になるが、その後回収が進んでくると大きく黒字に転換するという事業特性である。

2016年7月の経営統合以来、同社は新規顧客獲得のギアを上げて先行投資してきたが、2019年3月期はその成果として保有顧客数が拡大し損益分岐を超えたために、利益がV字回復した。

2020年3月期はさらに利益が積み上がる時期にあたる。

※2019年3月期の有価証券報告書より、販売手数料(5,939,189千円)、販売促進費(1,942,391千円)、給料手当(2,475,398千円)、合計10,356,978千円。

月次開示速報より、新規顧客獲得数287,572件から計算。

新規顧客獲得は月26千件ペース。

解約率も抑制できており、保有顧客数が順調に積み上がる5. KPI(重要業績評価指標)の推移同社はKPI(重要業績評価指標)として新規契約件数及び保有契約件数を設定し進捗を管理している。

新規契約件数に関しては、2016年7月の経営統合を契機に平常月で16千件、2017年5月からは月26千件前後に加速した。

2019年4月以降は月33千件ペースとさらに順調。

ちなみに9月の新規契約件数が54,790件と飛びぬけて高いのは、同業他社からのOEM受注(約30千件)が要因である。

宅配水の販売は、7月から8月の夏の時期に新規獲得がピークとなる。

また大きなブースでの販促を行った月は大きく新規獲得が増える。

新規契約の増加に加え、解約率を低く抑えることに成功したこともあり、保有契約件数は順調に積み上がってきた。

2018年3月期の上期に2%前後だった解約率は、2019年3月期はじめからは1.5%前後で安定する(フィスコ試算)。

これは、クレジットカード決済顧客を中心に顧客開拓を行うほか、契約後、決済手続きと並行して初回発送をしていた従来のやり方を改め、決済手続きが完了した段階で商品を発送する方法に変更した効果が出たものだ。

概算すれば、新規契約件数が月26千件、解約件数が月13.5千件(保有900千件、解約率1.5%と仮定)となり、月に12.5千件の顧客が純増する。

2016年7月の経営統合時点で394千件だった保有契約件数は右肩上がりを続け、2019年9月末時点で933千件に達しているのも自明である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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