■今後の展望・課題1. 中期経営計画児玉化学工業 (T:4222)は2019年5月に中期経営計画を発表、最終年度の2022年3月期に連結売上高 18,400百万円、営業利益1,100百万円を目標としている。
この計画は以下の3点を骨子としている。
(1) 事業ポートフォリオ改革販売製品の採算性の見極めを徹底するとともに不採算事業を縮小。
併せて、コアとなる自動車部品事業に経営資源を重点投入する。
(2) 自動車部品事業での生産安定化及び拡販住宅設備・冷機部品事業の余剰リソースを自動車部品事業にシフト。
新技術の優位性を生かし拡販を図る。
(3) 管理コスト削減と経営・組織力強化経営責任の明確化と聖域なき管理コスト削減の実施。
組織の改廃による業務効率化と徹底的なモニタリングにより計画の確実な実現を図る。
2. 新技術への期待、今後の課題将来的に期待が大きいのが、ガラス繊維マットプレス新工法等による自動車部品金属代替、三次元加飾工法による高度加飾分野への展開だ。
ガラス繊維マットプレス新工法の新製品は、トヨタ自動車の「レクサス」に標準装備されたことで、技術の高さを示すとともに、製品に対する信頼度が高まった。
それによって、自動車向けはもとより、自動車以外の分野からも引き合いが出始めており、収益源としての期待が大きくなっている。
三次元加飾工法による高度加飾分野においても、同じくトヨタ自動車の「カムリ」への標準装備によって、収益へ貢献している。
中でも、ガラス繊維マットプレス新工法は、炭素繊維とのハイブリッド化のニーズが期待できるものであり、自動車はもとより、幅広い分野で用途が拡大することは想像に難くない。
中期経営計画の目標達成に向けて、収益の柱になると考えられる。
一方海外では、需要が回復しているタイが海外事業における当面の稼ぎ頭になりそうな状況である。
これに加え、ベトナムも期待できる地域と言える。
東南アジアや中国については、同社がメーカーに部材として供給する製品が新たな需要となるだけに、これまで同社が実施してきた投資について、回収が十分見込めるだろう。
新規事業については年間数億円の売上規模だが、自動車部品や住宅設備・冷機部品に続く第3の柱を構築させたい考えである。
■情報セキュリティ対策について同社では、情報システムセキュリティ管理体制を構築し、情報セキュリティの確実な維持・管理を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)