40%引きでご購読
新規!💥 ProPicksを手に入れ、S&P 500を1,183%を超える投資成績を実現した、戦略をご覧ください40%割引で開始

日本化学工業 Research Memo(8):高付加価値製品の開発を推進

発行済 2020-01-31 15:08
更新済 2020-01-31 15:21
© Reuters.  日本化学工業 Research Memo(8):高付加価値製品の開発を推進

■日本化学工業 (T:4092)の中長期成長戦略5. 高付加価値製品の開発を推進120年以上の歴史の中で培われた配合・合成ノウハウをベースとして、中期的に需要拡大が期待される高付加価値製品を中心に開発を推進している。

MLCC(積層セラミックコンデンサ)に使用するパルセラム(チタン酸バリウム=BaTiO3)は需要が急拡大している。

BaTiO3は高い誘電率特性を持ち、コンデンサの材料として使用される。

特にMLCCの誘電体層として電子回路の高性能化に貢献している。

実用化されているBaTiO3の合成法には、汎用部品に適した固相法、小型部品に適した水熱合成法、高信頼性部品に適した蓚酸塩法があるが、同社は主に蓚酸塩法でBaTiO3を製造し、車載やIoTなどの高い信頼性が要求される高付加価値分野での事業展開を推進している。

そして需要拡大に対応して生産能力を増強している。

ICカード・ICタグ向けの製品として、ICチップとアンテナを接続する異方導電接着剤SMERFは、独自の材料と技術を用いて開発した。

キャッシュレス化や無人レジなどの流れを背景に需要拡大が期待されている。

量子ドット(QD=Quantum Dot)用原料の需要拡大も期待されている。

量子ドットは直径2~10ナノメートルで独特な光学特性を持つ特殊半導体である。

この量子ドットが均一に配列されることで、スーパーハイビジョンが目指す広色域の映像を実現する有力な材料となることが期待されている。

そして量子ドット技術を活用した液晶ディスプレイやテレビ(QDTV)は既に実用化され、今後普及が加速すると期待されている。

同社は量子ドット用原料として高純度のリン製品を供給している。

この他の主な研究開発として、化学品事業のシリカ製品では環境関連の材料、リン製品では高機能性を有する各種燐酸塩、電子工業向け高純度薬品、機能品事業では高性能誘電・非鉛圧電材料、導電性ペースト、熱電変換素子、負熱膨張剤、有機化学品関連のアルキルホスフィン誘導体、ホスホニウム塩系イオン液体、キラルホスフィンリガンド、高輝度LEC(電気化学発光セル)用電解質などの開発を推進している。

なお北海道大学伊藤研究室との共同研究で開発したキラル触媒は、60年間不可能だった触媒的不斉反応を初めて実現した。

不斉水添反応に用いられるキラルホスフィンリガンドの効率的開発につながると期待されている。

空調関連事業では、半導体製造設備向けの高性能ケミカルフィルタ、医薬向けのアイソレーターなどのクリーン機器、集塵機や陽圧防虫システムなどの環境改善機器の開発を継続し、新たに脱臭分野や分煙分野への進出に向けた取り組みを開始している。

また子会社化したロックゲートが取り扱う極低温冷却機器は、ビッグデータ解析や新薬開発で実用化が期待される量子コンピュータに使用されており、今後の展開が注目される。

レスポンシブル・ケアに対する取り組み6. レスポンシブル・ケア同社は企業理念の「人を大切に、技を大切に」に基づいて、1997年4月にレスポンシブル・ケア(RC)基本方針を策定している。

RCは化学物質を製造または取り扱う業者が、化学物質の開発から製造・物流・使用・最終消費を経て廃棄に至るまでの全ライフサイクルにわたって、環境保全・保安防災・安全及び健康の確保を経営方針において公約し、社会との対話を通して信頼を深めていく自主管理活動である。

1985年にカナダで誕生し、世界60ヶ国以上で展開されている。

具体的な基本方針として、環境保全・保安防災・労働安全衛生及び製品安全に関する国内外の法規制遵守、環境を配慮した安全操業、環境負荷の少ない安全な製品と情報の提供、環境保全に向けた資源・エネルギーの効率的使用及び廃棄物削減、環境保全や安全確保対策の実施状況に関する自主監査の実施を行い、全社員の責任の自覚と社会との信頼の向上に努めるとしている。

なお食添用リン酸について、ハラール認証(イスラム教が禁じているものを含まない食品等の規格を定め、原材料・製造工程・製品品質等を審査し、適合する製品にハラールマークを表示させる制度)を取得している。

また2019年7月には経営トップによる安全衛生方針のポスターを東京労働局のホームページに掲載した。

中期的に収益拡大・高収益化を期待7. 中期的に収益拡大・高収益化を期待2020年春に発表が予想される次期・中期経営計画は、徳山工場の新生産棟建設(投資額約37億円、2021年春竣工予定)や東南アジアの生産拠点計画着手(2022年前半の稼働目標)などで、設備投資が高水準となって減価償却費が増加するため、新工場の円滑な立ち上げと生産性向上、新製品開発の加速など、次の成長ステージに向けた強固な事業基盤の構築時期という位置付けになりそうだ。

MLCC用パルセラム(チタン酸バリウム)など高付加価値製品の需要拡大も背景に、こうした強固な事業基盤の構築時期を経て、中期的に収益拡大、一段の高収益化が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます