■ブイキューブ (T:3681)の事業概要3. 販売チャネルと顧客基盤販売方法は、直販、販売代理店経由、OEM(他社ブランド名でのサービス提供)の3種類となっており、直販が約6割を占めている。
直販のうち、中堅・中小の顧客向けにはコールセンターからのオンライン営業、大規模高単価の顧客向けには直接営業というように営業方法を変えており、効率の良い営業体制を構築している。
国内の販売代理店は、大塚商会 (T:4768)、キヤノンマーケティングジャパン (T:8060)、東日本電信電話(株)、NTTドコモ (T:9437)などのNTTグループ会社、SB C&S(株)、(株)日立システムズ、コネクシオ (T:9422)、日本ユニシス (T:8056)、内田洋行 (T:8057)など大手システムインテグレータ、通信キャリアのグループ会社、ITベンダー等が同社のサービスを販売している。
直近ではソースネクスト (T:4344)を通じて、同社の「V-CUBEミーティング」や通話ノイズ軽減アプリケーション「Krisp Pro(クリスプ プロ)」※の販売を2020年3月より開始している。
※「Krisp」は、イヤフォンなどに使われている騒音を打ち消す技術を用いたノイズキャンセリング機能と異なり、入力された音をディープラーニング技術により人の声と騒音に分解し、人の声のみを送受信できるようにする独自技術を用いている。
ヘッドセットやマイクスピーカーがない環境でも快適な音声でWeb会議を実現できる点が特徴。
Zoom、Skype、Google Hangout、「V-CUBE」など600を超えるアプリケーションで利用可能となっている。
利用時間が無制限で3台までインストールして利用できる「Krisp Pro」の利用料金は月額500円。
なお、同社グループの顧客は中小企業から大手企業、官公庁、教育機関、各種団体まで幅広く、業種に偏りがない。
これまで累計で5,000社以上のユーザーに対する導入実績を有する。
一方、海外子会社の顧客は、現地企業、現地政府が主要顧客となっており、90%以上のウエイトを占めている。
4. 主要サービスと同社の強み同社グループが提供する主要サービスは、顧客ニーズに合わせて幅広い提案ができるラインナップを取り揃えていることが強みとなっている。
また、専用のハードウェアを必要とする高価なテレビ会議システムに比べ、低コストで高画質・高音質、高い安定性とセキュリティ性を保ちながら利用できることも強みとなっている。
さらに、Web会議システム市場においては競合が多数存在するなかで、ユーザー目線での開発や優れた技術の活用などにより、使い勝手の良いサービスを開発・提供し、また、24時間365日のサポート体制を構築していることが差別化要因となっている。
特に、利用率の高いユーザーからは、競合のサービスと比べてコストメリットの高いサービスとして評価されている。
同社が2017年より販売を開始した「テレキューブ」は、消防法の問題をクリアする国内唯一の独立型テレワークスペースとなっており、今後のテレワーク市場の拡大とともに大きな成長が期待される製品として注目される。
「テレキューブ」の市場は、一般企業向けと公共空間向けの2つの市場に分けて営業展開している。
一般企業向けについては、同社、オカムラ(製造委託先)及び販売代理店を通じて販売しており、2019年第4四半期からは顧客ニーズに応えて初期投資負担が軽い月額サブスクリプションモデルでのサービスも開始している。
一方、公共空間向けについては、同社でカスタマイズしたのちに持分法適用関連会社のテレキューブサービスや、OEM先の東日本旅客鉄道 (T:9020)(JR東日本)に販売している。
テレキューブサービスでは、都心のオフィスビルエントランス部や各私鉄の駅構内、商業施設や複合施設などに、順次設置を進めている。
個人会員向けの利用料金は250円/15分からで、そのほか法人会員向けプランも用意している。
また、JR東日本では2019年8月より開始したシェアオフィスサービス「STATION WORK」で設置されるブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」の筐体として「テレキューブ」を採用しており、都内の駅から順次設置を進めている。
同社の業績としては、テレキューブサービスやJR東日本への「テレキューブ」の販売(売り切り型)が売上高として計上されるほか、テレキューブサービスの利益が持分法投資損益として営業外収支に計上されることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)