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プラットフォーマー企業と国家安全保障問題【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

発行済 2020-04-20 09:04
更新済 2020-04-20 09:21
© Reuters.  プラットフォーマー企業と国家安全保障問題【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ビデオ会議の活用が進んでいる。

Zoomの利用者も、2019年12月の1,000万人から、2020年3月には2億人以上に急増した。

一方、足元ではZoomのセキュリティ脆弱性やプライバシー問題が多数指摘されており、台湾の政府機関、オーストラリア政府、SpaceX、Google、ニューヨーク州の教育当局、米上院とドイツ外務省などが、Zoomの使用を禁止または制限したと報じられている。

「セキュリティ問題」から各国政府がZoomの使用禁止を進めているが、それは必ずしも情報漏洩問題のみならず、安全保障上の問題に発展する可能性が懸念されている側面もあるだろう。

ZoomがSECに提出した2019年度のアニュアルレポートによると、Zoomは中国に4つの子会社を抱えている。

また、中国については「米国と中国の両方でR&D拠点がある」、「中国にR&D担当者が集中」、「創業者、社長、CEOのEric S. Yuanが中国のオペレーションに重要」、「2020年1月31日現在、700人以上の従業員を擁する中国で研究開発センターを運営」、「製品開発チームは主に中国に拠点を置いている」などと言及されている。

米国のGAFA、中国のBATなどに代表されるプラットフォーマーは、国家安全保障を揺るがしうる存在になっている。

日本のプラットフォーマーの一つがLINEである。

「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の中で、LINE (T:3938)の利用率は全年代で82.3%に上る。

第2位はYouTubeの75.3%であるが、第3位はTwitterの37.3%と、コミュニケーションツールとしてのLINEの浸透度は圧倒的である(ちなみにLINEと同様に注目視されるTikTokの全年代利用率は10.3%にとどまる)。

LINEの親会社は韓国企業のNAVERであるため、現状は韓国に日本の国家安全保障の一部を握られていることを意味しかねない。

少し前の話になるが、月刊「FACTA」2014年7月号において「韓国の国家情報院(旧KCIA)が、無料通話・メールアプリ「LINE」を傍受し、収拾したデータを欧州に保管、分析していることが明らかになった」などと報じられ、当時の森川亮LINE社長がそれに反論するという一幕もあった。

真偽の程は不明だが、アメリカにおけるスノーデン事件を見るにつけても、プラットフォーマーと国家安全保障は緊密に絡み合う。

また、2014年11月に産経で報じられた「京大ポポロ」についても覚えていらっしゃるだろうか。

東京でデモ行進へ参加した京大生が警官に暴行を加えたとして逮捕されたことに抗議する演説が京都大学のキャンパスで行われていたが、当キャンパスに私服警察が無断で立ち入った事件であり、1952年の「東大ポポロ事件(大学の自治に対する最高裁判所の判例を出された事件)」になぞらえて、その名が付けられた。

衝撃だったのは当時件でなく、警察官が連携のためのやり取りにLINEを使っていたという事実だった。

さすがに現状、警察組織においてそのようなことは改善されていると思うが、多くの重要な立場の方が依然としてLINEを使用しているであろうことは容易に想定できる。

日本が平和ボケしているといわれる所以だ。

なお、韓国では4月15日に総選挙が行われ、革新系与党が圧勝したことから、反日政策の強化が予想される。

新型コロナウイルスの影響もあって経済が厳しい状況を迎える中、不満を外にそらすため、従前にも増して日本への態度を硬化させる可能性がある。

中国はもちろん、ロシアや北朝鮮の圧力を一手に引き受けることにならないためにも韓国との関係は重要である。

その関係がさらに揺らぐとなると、日本の安全保障に大きな打撃となることはもちろん、上記のような懸念がさらに増すことになる。

2019年11月18日にLINEと(ソフトバンク (T:9434)傘下のヤフー持株会社の)Zホールディングス (T:4689)との経営統合が発表された。

2020年10月に経営統合完了を目指している。

統合完了後、ZホールディングスがLINE事業を100%保有することになるが、Zホールディングスの65.3%を(JVを通じて)ソフトバンクとNAVERらが50:50で保有することになる。

均等出資であれば、有事の際に「決められない」状況に陥るだけでなく、韓国企業NAVERの影響力が強く残ると考えた方がよさそうだ。

実際、出前館への出資については、そのことを如実に想起される事象となった。

2020年3月26日、出前館はLINEとの間で資本業務提携契約などを決議している。

出前館は第三者割当による新株を発行(普通株式41,096,000株)し、LINEと未来Fundにそれぞれ20,548,000株が割り当てられる。

なお、未来Fundは、NAVER J.Hub株式会社が90%、LINEが10%を出資する有限会社だ。

この第三者割当増資はLINEとNAVERの関係に影響を与えるものではなさそうだが、NAVERによるLINEへの影響力の強さを象徴しているようにも見える。

他方、注目が集まっているのがソフトバンク・グループ (T:9984)の財務状況である。

ソフトバンク・グループは高いレバレッジを活用した企業価値向上を目指してきたが、3月後半にCDSが一時550bpsまで上昇するなど、コロナショックで状況が一変、財務リスクへの警戒感が強まった。

3月17日にS&Pはソフトバンク・グループの格付けアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更し(格付けはBB+)、3月25日にMoody’sは格付けをBa1からBa3に2段階引き下げた。

ソフトバンク・グループはMoody’sの格付け取り下げを発表したが、適時開示での不服表明というのも異例である。

ソフトバンク・グループは、傘下にソフトバンク(67%保有)を、そしてソフトバンクの傘下にZホールディングス(45%保有)を抱えている。

仮に海外のファンドがソフトバンク・グループを支配した場合、ソフトバンクという通信会社と、LINEというプラットフォーム会社という2つの安全保障上の重要な会社が海外に委ねられてしまうことになる。

なお、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、ソフトバンク・グループが3月、エリオット・マネジメントなど米ファンドに加え、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの政府系ファンドなど複数の投資家と非上場化について協議していたと報じており、海外資金が日本のプラットフォーマーに重大な影響を及ぼすことを想起させた。

2019年11月22日、外国為替及び外国貿易法の改正が国会で可決、成立した(2020年5月に施行予定)。

改正法では、海外投資家が武器や原子力、半導体、鉄道など安全保障に関わる上場企業の株式を取得する場合、日本政府へ事前に届け出る基準が、出資比率「10%以上」から「1%以上」に厳格化される。

4月下旬に公表される具体的な対象企業として、LINEやソフトバンク・グループが含められるかが注目されよう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

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