[香港/ロンドン 29日 ロイター] - 英銀行大手スタンダード・チャータード(スタンチャート) (L:STAN)が発表した第1・四半期決算は利益が前年同期比12%減少した。顧客が新型コロナウイルス危機の影響を受ける中、貸倒引当金を積み増したことなどが響いた。
ただ、同行は新型コロナで打撃を受けている世界経済が年後半に回復するとの楽観的な見通しを示した。中国で勇気づけられる兆候が見られるとし、より早期に景気が回復する可能性もあるとした。
同行は、発表文書で「当行が展開している市場がけん引する形で、世界経済はCOVID─19(新型コロナウイルス感染症)の影響から緩やかに回復し、2020年後半にリセッション(景気後退)を脱却する見通しだ」と指摘。
「個々の市場の回復ペースは各国政府の刺激策の効果や制限措置緩和に向けた政策、新型コロナの感染状況に大きく左右される」との見方を示した。
第1・四半期の税引き前利益は12億2000万ドル。前年同期は13億8000万ドルだった。第1・四半期の利益には、債務評価の調整額3億5800万ドルが含まれる。
貸倒引当金は62億ドルと、昨年12月末時点の58億ドルから増加した。信用減損額は9億5600万ドルで、前年同期の7800万ドルから増加した。バランスシートの「高リスク資産」は前期から62億ドル増加した。
同行は通期の費用について100億ドル以下に抑えることを目指しており、従業員の賞与削減や新規採用の凍結、裁量的支出の削減を通じて達成する方針を示した。第1・四半期の費用は2%減だった。
中核的自己資本比率は13.4%で、12月末時点の13.8%から低下した。ただ、同行はインドネシアのプルマタ銀行 (JK:BNLI)の株式45%の売却が第2・四半期に完了した時点で、40ベーシスポイント(bp)改善すると見込んでいる。