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日本電技 Research Memo(1):東京オリンピック後も、都心再開発など引き続き順風

発行済 2020-07-09 15:11
更新済 2020-07-09 15:21
© Reuters.  日本電技 Research Memo(1):東京オリンピック後も、都心再開発など引き続き順風
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■要約1. 計装分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業の強み日本電技 (T:1723)は「計装※エンジニアリング専業企業」である。

オフィスビルやホテルなどの非居住用建築物を対象に、空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)という事業を展開している。

1,660億円規模と言われる空調計装の市場で、自動制御機器大手であるアズビル (T:6845)の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として豊富な経験とノウハウを誇っている。

さらに、工場の生産ラインや搬送ラインを自動化する産業計装(インダストリーオートメーション)という分野にも進出、設計から施工、メンテナンスまでを手掛けている。

同社は、計装という分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業としての強みを発揮している。

※計装(Instrumentation):ビルや工場などにおいて、空調や生産ラインなどの各種設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に機能させること。

2. 都心再開発とAIやIoTの取り込みが次の成長ドライバー売上高に占める割合は、空調計装関連事業84.6%、産業計装関連事業15.4%となっている(2020年3月期)。

空調計装関連事業において、同社は通常、ビルや工場、病院、クリーンルームなど比較的大型の非居住用建築物の空調計装を手掛けている。

現在、東京オリンピック・パラリンピック(以降、東京オリンピック)を前に取り組んできたビル建設ラッシュの恩恵を享受しているが、続けて東京を中心とする都心再開発需要も立ち上がってきたようだ。

産業計装関連事業では、自動化に遅れる食品や医薬品などの中小工場を中心に生産ラインや搬送ラインの計装を手掛けている。

同社の中期成長ドライバーとして、都心再開発における空調計装需要の拡大に加え、AIやIoTといった新技術を利用してエネルギー管理も手掛けている。

3. 2020年3月期は業績予想を2回上方修正するなど好調2020年3月期の業績は、売上高31,298百万円(前期比10.6%増)、営業利益4,425百万円(同39.4%増)と非常に好調だった。

業績予想を2回上方修正した結果、期初計画に対して、売上高で1,798百万円、営業利益で1,175百万円の超過達成となった。

東京オリンピック向けビル建設ラッシュのなか、既設工事につながる物件の受注や提案型営業、地域特性に応じた事業戦略を推進した結果、大きく売上を伸ばし採算も向上したことが業績好調の要因である。

新型コロナウイルスについては、2020年2月以降世界的に大きな影響を及ぼしたものの、同社には大きな影響は生じなかったもようである。

なお、東京オリンピック向け需要一巡後の中だるみが懸念されるなか、受注高が30,821百万円(同2.4%減)と微減ながら引き続き非常に高い水準で推移しており、東京オリンピックに続けて都心再開発に向けた建設需要も順調に立ち上がってきたことは心強い。

4. 2021年3月期の業績見通しは保守的だが、中期の需要は引き続き強い見込み2021年3月期の業績見通しに関して、同社は受注高30,500百万円(前期比1.0%減)、売上高32,000百万円(同2.2%増)、営業利益3,550百万円(同19.8%減)と見込んでいる。

新型コロナウイルスによる工事現場の閉鎖などがない限り、受注済み案件の着実な完成計上が見込まれるが、既設工事や比較的工期が短い案件で受注や売上の減少を懸念している、というのが同社の前提だ。

しかし、資産価値維持の面からビル修繕のニーズは簡単に落ち込まないし、省エネや省人化のために工場を増強しなければ生産性改善や競争の面で後れを取ることになる。

従って、新型コロナウイルスの影響や東京オリンピック後の一巡感という懸念はあるが、同社の予想はやや保守的と思われる。

今後中期的に、都心再開発に加え、産業計装分野での業容拡大が期待されるため、同社の業況は引き続き強い推移が予想される。

■Key Points・計装分野でエンジニアリングを併せ持つ専業としての強みを発揮・2020年3月期は東京オリンピック向けなど非常に好調だった・東京オリンピック後も都心再開発や産業計装分野の業容拡大に期待(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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