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日本電技 Research Memo(7):中期経営計画は2020年3月期に1年前倒しで概ね達成

発行済 2020-07-09 15:17
更新済 2020-07-09 15:41
© Reuters.  日本電技 Research Memo(7):中期経営計画は2020年3月期に1年前倒しで概ね達成
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■中期成長イメージ1. 中期経営計画の進捗日本電技 (T:1723)は、2021年3月期に受注高31,000百万円(空調計装関連事業26,000百万円、産業計装関連事業5,000百万円)、売上高30,000百万円(空調計装関連事業26,000百万円、産業計装関連事業4,000百万円)、営業利益3,500百万円を目指していた。

しかし、業績好調により2020年3月期に1年前倒しで概ね達成してしまった。

2021年3月期は、同社は業績見通しをかなり保守的に見ているが、それでも中期経営計画の目標値はほとんどオーバーしている。

中期経営計画のメインイベントである東京オリンピックへ向けた建設需要にけん引された格好だが、一巡しても、次にドライバーと期待される東京を中心とした都心部の再開発事業が既に売上に乗り始めている。

新型コロナウイルスの影響に一抹の不安はあるが、高水準の受注環境はまだしばらく続きそうだ。

中期経営計画がこのように順調に達成できたのは、(1)効率重視の事業展開、(2)顧客との関係強化の推進、(3)戦略的受注の徹底、(4)ニーズに応える技術力強化と領域拡大、(5)働き方改革への対応——という5つの重点戦略を着実にこなしてきたからである。

以下に進捗の内容を示すが、今後も当面、こうした重点戦略を継続していくものと思われる。

(1) 効率重視の事業展開空調計装関連事業で、地域ブロック制を導入して受注の最適化と仕掛物件の利益改善を狙う。

新設工事では受注判断の段階で適性利益の確保を重視、人員の配置もブロックごとに適性化して効率化を進めた。

この結果、利益率の向上につながった。

産業計装関連事業では、ブロック制に対して横串となる4つのユニット——PM(プラントメーカー)、EU(エンドユーザー)、FA(ファクトリーオートメーション)、DHC(地域冷暖房)に分け、営業から管理まで事業全般の効率化を進めた。

この結果、特にPMとEU、FAで受注拡大につながった。

(2) 顧客との関係強化の推進空調計装関連事業では、顧客の課題を解決するソリューション型ビジネスへの進化を推進している。

建物設備の運用を事業とするFM(ファシリティマネジメント)事業者との連携を強化、彼らの省エネニーズを取り込むことで受注拡大へつなげた。

産業計装関連事業では、使用エネルギーの見える化による運用を図るため、同社独自のデータ分析ツールを工場向けに機能強化した。

また、生産ラインの自動化による品質の向上を通じて省エネ・省人化を進め、売上拡大へつなげた。

(3) 戦略的受注の徹底空調計装関連事業では、本社と地域ブロック、各店において収集した新設工事情報の共有化を徹底、ターゲットを早期に選定することで、受注の確保と利益率の向上につなげた。

産業計装関連事業では、4つに分類したユニットそれぞれの事業戦略を明確化したことで、前述のような受注拡大につながった。

(4) ニーズに応える技術力強化と領域拡大空調計装関連事業において、BIM(Building Information Modeling)への対応を強化し、本社主導でFM事業を推進して、既設市場で新たな収益源となる省エネビジネスのモデルを確立した。

また、自動制御システム設計のエヌ・ディ・ティを子会社化して技術基盤を強化するなど、新技術に対応することで事業領域の拡大を進めた。

産業計装関連事業では、食品工場向け生産管理システムの開発を得意とするジュピター電算機システム(株)から譲り受けた事業との連携により、TIS(Total Industrial Solution)へ向けて事業基盤を強化した。

(5) 働き方改革への対応全社的な働き方改革への対応としては、働き方改革関連法に対応した人事関連制度への見直し、健康経営優良法人としての健康経営の促進、現場作業支援システムや情報端末の配備など現場支援施策を行った。

事業環境、世界のトレンド、成長余地、いずれも良好2. 中期の成長イメージこうした重点戦略は、年々進化しターゲットも引き上がり、中期的な成長を押し上げる要素・要因になっていると弊社では理解している。

その中でも、まだ規模は小さいがビジネスチャンスが非常に大きいと言われる産業計装関連事業に、中長期的に大きく飛躍する可能性が出てきたと弊社では考えている。

しかし、十二分に満足のいく中期経営計画の中で最も不満だと思われるのが産業計装関連事業で、目標にしていた受注高5,000百万円をまだ達成できていない。

その穴を埋めビジネスチャンスを広げるのがM&Aである。

子会社のジュピターアドバンスシステムズの前身であるジュピター電算機システムは、食品生産管理システムの基幹システムを開発している会社で、優良な食品工場を顧客として抱えている。

そのうえ、生産ラインの上流の基幹システムを担うジュピターアドバンスシステムズと、下流の計装を担う同社では非常にシナジーが大きいと見られる。

このM&Aをバネに同社は、短期目標の達成のみならず、中長期的に産業計装関連事業の飛躍を図る意向である。

ところで、東京オリンピック関連の需要が一巡した後の業績けん引役と期待されている、東京を中心とした都心部の再開発事業に拍車がかかってきた。

既に高輪ゲートウェイ駅(浜松町エリア)や虎ノ門ヒルズ駅(虎ノ門エリア)が開業し、渋谷の再開発地がTVで特集される(渋谷エリア)など、一般消費者にも明確な形で再開発は動いているように見える。

東京の再開発事業は、進行中のものだけでもかなり多い。

この中で一定程度に大型のビルが建設され、その一定程度のシェアは確保できるため、空調計装関連事業は、中期的に高水準の受注・売上を続けることが期待される。

近年、環境への意識が非常に高まっている。

とりわけ建設業界においては、ビルを中心に究極の省エネであるZEB(Net Zero Energy Building)の実現へ向けた取り組みが行われており、同社の技術で実現可能な省エネ化の需要はますます高まると考えられる。

最小のエネルギーでビルや工場など建物の最適な環境づくりを追求してきた同社にとって、脱炭素社会実現へ向けた世の動きは重要なビジネスチャンスとなる。

環境ビジネスのみならず、国内の少子高齢化による労働力不足の課題に伴い、プロセスオートメーション(PA)、ファクトリーオートメーション(FA)といったソリューションへの需要も増加が期待できる。

こうした内外の大きなトレンドは、中長期的に同社にとって強い追い風になっていくと思われる。

新型コロナウイルスの影響が短期的に収束することを願うが、ここまで述べてきたように、短・中・長期的に同社の事業環境は良好と言うことができる。

こうしたことを念頭に将来の状況を想像すると、同社の中期的な成長イメージは従来以上に高まってくる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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