[日経平均株価・TOPIX(表)]日経平均;23272.34;+428.38TOPIX;1623.18;+17.65[後場の投資戦略] このところ市場では「グロース(成長)株かバリュー(割安)株か」といった議論が活発だ。
もちろん重要な議論だが、グロース株、バリュー株を横断したもう一つの視点も必要かもしれない。
業績という視点だ。
今週で4-6月期決算発表が一巡する。
発表前には好決算発表による全体相場の押し上げも期待されたが、やや失望感が強い内容だったようだ。
日経平均は決算発表たけなわの7月31日に21700円付近まで下落したが、今日の前場では約3カ月ぶりに23000円の大台を回復し、半年ぶりの高値水準となった。
8月に入って以降の日経平均の上げ幅は1500円を超しており、決算内容は期待を上回るものではなかったが、相場全体としては4-6月期決算を「無事」に織り込み、次に向けて動き始めたようだ。
だが、個別銘柄に目を移すと「無事」とは言えない。
いくつか見てみる。
まず、以前当欄でも取り上げたアドバンテスト (T:6857)。
7月30日に発表した4-6月期決算で連結営業利益が前年同期比11.2%減となったことを受け、翌31日はストップ安比例配分と容赦なく売られ、同日の日経平均を21700円近辺に押し下げた。
「アドバンテストショック」とでも言えそうな相場だった。
ただ、「ショック安」であれば急落後は押し目買いに急反発しても良いのだが、同社株にその気配はなく、ここにきてようやく底が入ったかなといった雰囲気だ。
すでに決算発表から2週間近く経っている。
業績への期待感は大部分剥がれ落ちたようだ。
また、7月28日に20年12月期連結営業利益が前期比74.2%減の予想と発表したキヤノン (T:7751)は急落し7月31日に安値を付けた。
1月の高値から50%近い下落率で、約21年ぶりの安値となってしまった。
一方、8月3日に4-6月期連結営業利益が前年同期比44.7%増加したと発表したイビデン (T:4062)は決算発表後昨日まで20%を超す上昇となり、同様に好決算を発表した日本電産 (T:6594)は10%超、DeNA (T:2432)は40%近い上げとなった。
その後も高値圏で堅調で、イビデンとDeNAは昨日年初来高値となり、日本電産は今日も年初来高値を更新した。
また、4-6月期営業黒字を確保したトヨタ (T:7203)は今日まで8日続伸だ。
決算発表を受けた株価が明暗を分けるのはいつものことだが、この4-6月期決算は、いつにも増して上昇銘柄と下落銘柄が鮮明になっているようだ。
コロナ禍の中で各企業が何をしていたか、ウィズコロナやアフターコロナに向け何をしてきたかが問われたのが今回の決算なのだろう。
グロース株の中でも銘柄が峻別され、バリュー株の中でも明と暗がより鮮明になっていきそうだ。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。
市場にはリスクオンムードが広がっており、下値は売りにくい。
一方、今週に入って今日前場までの日経平均の上げ幅は900円を超しており、上昇ピッチが速すぎるとの見方も多い。
今晩は米国で新規失業保険申請件数の発表を控えていることもあり、高値圏ながらやや様子見ムードが広がりそうだ。